捕食されるヒロイン
彼女の役どころは、白川演じる新井知加子が勤めるキャバレー「ホムラ」のダンサーで、端役ながらちゃんと“エミー”なる名前も頂戴している。但し彼女の存在はあくまで“液体人間の捕食犠牲者”という役回りだった。
イメージとしては日活アクションにおける白木マリを彷彿させるキャラクターで、豊満な肉体美を最小限のコスチュームで惜しげもなく披露する。そしてたまたま入った楽屋で液体人間と遭遇、液体人間の青い体(?)に触れてしまい、あっという間に餌食となってしまった。抜け殻になったコスチュームが、かすかに残った青い残滓と共に無造作に転がっているシーンは、なかなか艶めかしかったな。
ところで、彼女が捕食されるシーン、徐々に液体人間に侵食されるカットは、『怪奇大作戦』の1エピソード「美女と花粉」で猛毒の花粉に被害者が侵食されるシーンの特殊効果にそっくりだった。考えてみれば、同じ『怪奇~』の「光る通り魔」の燐光人間も、その青白さが液体人間そのものだったし、やはり本作の特技監督だった圓谷英二が監修を努める特撮ドラマだけある
さて、くだんの園田あゆみだが、本作の公開から半年後の『大怪獣バラン』でなんと、女主人公の東日本新報記者・新庄由利子を演じ、晴れて“東宝特撮ヒロイン”の仲間入りを果たすのだが、特撮主演作はこれ一本。検索しようにもWikipediaにさえ網羅されておらず、詳細は知るよしもない。同じ条件(特撮主演は1本のみ)の安西郷子と比べても寂しい限りだ。
今改めて観ると、実に“フツー”の顔をした女優だったんだぁ、と実感