神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

あずみ

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 上戸彩が戦国時代の女戦士を演じると知った時は、大変期待した。きっと可憐でかっこいい、典型的な“ヒロインアクションムービー”になると思ったからだ。しかしながら見終わった後は、またもや何ともいえない感慨に包まれてしまった。

 「戦乱の世を平定するためには、天下人・家康に対抗する者を抹殺するべし」という刺客育成の基本精神が、たとえ『英雄』と同じ設定とはいえ、大変違和感を感じてしまう。つまりあずみたちは“体制の維持”のために命をかけて闘うわけで、今の世でいえば、アメリカの、自民党のために闘う兵隊みたいな者でしょう! だからいかに敵方が凶悪だろうが、彼女らの闘いが悲壮だろうが、その勝利に今ひとつカタルシスを感じない物語になってしまった。その点ではある種主人公の仲間たちの死は悲劇的でもある。物語冒頭、いくら最強で非情の戦士を選抜するためとはいえ、仲間同士で殺し合う、というシーンも、「そんなことするから土壇場で仲間がなくて大変なことになってしまったではないか」とつっこみを入れたくなるほど“無駄死に感”にあふれていて、悲惨さがさらに募った。

 劇中、やえ(岡本綾)との出会いでつかの間の“少女性”を取り戻す件などなかなかいい雰囲気だし、何よりひとたび戦闘モードに入るやいなや圧倒的な強さで数ある敵をなぎ倒すところなど、正当派“ヒロインアクション”していて結構楽しめたが、初期設定の何ともいえないやるせなさのために、何度も見返したくなる作品にはなり得なかった。そのためか、未だに『あずみ2』は観ていない(もっとも続編は金子修介監督なので、もっと違った展開かもしれないが……)。

 監督は北村龍平。彼の作品では他にも『ゴジラファイナルウォーズ』を観たが、確かにアクションは緻密なもののストーリー的(そして演出)には今ひとつ感情移入できない演出家だと感じた。しかしながら、彼の劇場版第一作『ヴァーサス』で主演をつとめた三坂知絵子嬢は、当団体の『令嬢探偵★モロボシアイ~広島より愛をこめて』に主要キャストの看護師役で出てもらっている関係上、評価に関してはなかなか複雑ではあるのだが……(笑)