神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『幽霊列車』

 テレ朝の「土曜ワイド劇場」が打ち切られて久しいが、最近CSの日本映画専門チャンネルが「おとなの2時間サスペンス」枠で往年の(そして16ミリフィルム作品の)70~80年代に放映された「土曜ワイド」や「火曜サスペンス」(日テレ)の作品を放映してくれるので嬉しい(^^) そんな中、思い出深い『幽霊列車』(1978年)が放映されたので、ホントオンエア以来久し振りに観賞できた。

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 赤川次郎原作による本作は、主人公の警視庁刑事・田中邦衛と推理マニアの女子大生・浅茅陽子の偶然出会ったコンビが、とある寂れた温泉街で起こった、列車車中の乗客7人が姿を消すという珍事家に挑む物語である。当時、NHKの朝ドラ『雲のじゅうたん』で日本初の女性パイロットを演じた(そしてその時の役名・真琴が、実は拙作のタイトルやこのブログのタイトルに「真琴」と命名した一員にもなっている)ばかりの浅茅陽子が、本作ではいきなり気っぷのいいヌード姿を披露したのは、中2だった私にとっても衝撃的だったが(;^_^A、そんなあっけらかんとした(そしてその行動力から村の人間にはすっかり婦人警官と勘違いされてしまう)彼女に終始振り回されながらも、やがて事件の核心を追求していく田中邦衛の後半の格好良さも相まって、よくまとまったサスペンスに仕上がっている。

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 列車が一駅迎える間に忽然と消えた乗客は、皆当村を訪れた大阪からの観光客で、姿を消した理由も手段も全然わからないままドラマは進行していくが、中盤、駅に合った手こぎのトロッコを浅茅が発見してから、事件の謎は次々解明されていく。列車にトロッコを連結して鉄橋付近で車掌の手引きで7人はトロッコに乗り移り、そこでトロッコを切り離して7人は元のに向かった……そんな浅茅の大胆な仮説は、名物がキノコでありながら、何故か旅館の食事にキノコが出ない事実と絡んで、徐々に結実していく。

 事件そのものは、件の大阪の観光客が、山で収拾したキノコを村の者たちが止めるのも聴かず食したことがきっかけで(実は毒キノコで)死んでしまい、村の名誉を心配した村長をはじめ村の長老・重鎮たちが、彼らを山深く埋葬した挙げ句、自らが観光客を装い、列車に乗り込んで、上記のトロッコのトリックで列車から抜け出したことが判明する。

 クライマックスは、浅茅と田中が事件の真相に気付いたことを怖れた重鎮たちが、2人を亡き者にしようと、田中は車掌がトロッコを使って轢き殺そうとしたり、浅茅は観光客が眠る場所で重鎮たちに縛り上げられ、共に危うく殺されかけたが、すんでの所でそれを振り切り、結局事件の当事者たちはつかまって大団円を迎える。

 浅茅陽子田中邦衛の他、村の重鎮たちとして、村長役の内田朝雄を筆頭に、東映の名悪役・山本麟一や新藤兼人監督作品の常連・殿山泰司、『野球狂の唄』の五利監督こと桑山正一、時代劇の常連悪役の長谷川弘、「死神博士」こと天本英世といった面々が脇を固め、駅長は『帝銀事件・死刑囚』の平沢こと信欣三、車掌は『火曜日のあいつ』のゴロー役が印象的な福崎和宏、村に駐在役に『ゴジラ対メカゴジラ』の国頭天願こと今福正雄、そして隣町の駅長には「第四惑星の悪夢」(ウルトラセブン)のロボット長官や「帰マン」のナックル星人など、円谷きっての極悪宇宙人役が際立つ成瀬昌彦と、今思うと超豪華な(そして印象深い)役者が出演している。そして当時の名子役・松田洋治がなかなかオイシイ役で出ていたのが印象的だった。そう言えば、その松田が被っているのが、何故か赤いカープ帽、それも76年までのバージョンのものだった。おそらく本作が撮影されたのは広島東洋カープセリーグ初優勝の興奮(余韻)醒めやらぬ1976年だったろうから、それも世相を反映していたのかな?

 ちなみに、スタッフも撮影が木村大作で監督は岡本喜八! いやはや「映画」といっても過言はないくらいの、豪華な布陣で本作は撮られていたようだ。まさにテレフィーチャーと言おうか、「テレビ映画」のノリで制作されたんだろうな。

 1970年代の雰囲気を十二分に感じさせる、何とも懐かしく、それでいて「安心」なドラマだったよ(^^) ああ、当時に戻りたいなぁ(;^_^A


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