神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』 ~『怪獣総進撃』?「ファイナルウォーズ』??

 遂に世界同時公開となった『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』。早や封切から2週目に突入したが、幸運にも丁度一週間前になる公開2日目の1日に観賞が叶った。初見の印象は、事前に公表されていた登場怪獣「ゴジラ」「モスラ」「ラドン」「キングギドラ」から、同じキャラ出演(?)映画の『三大怪獣地球最大の決戦』の線で展開するのだと思いきや、何と何と『怪獣総進撃』……否、『ゴジラファイナルウォーズ』の世界観に近い作品だったよ! 流石、『モンスター“ズ”』のタイトルに偽りなしだったね(;^_^A

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★★★★以下ネタバレ注意!★★★★

 物語は先のギャレス版(レジェンダリー版)『ゴジラ』の後日談というか、共通の世界観から始まる。今回のメインキャストといっていい、マーク・ラッセル博士(カイル・チャンドラー)は、そのゴジラロサンゼルス上陸の際、愛息子を“ゴジラ禍”で失い、それ以来ゴジラに憎悪を抱いているって設定(ここら辺は金子修介監督『ガメラ3』における前田亜希のキャラと被る)。そんな彼の別れた妻・エマ(ウェラ・ファーミカ)は、モナークの科学者で、生き残った娘マディソン(ミリ-・オビー・ブラウン)と共に、中国・雲南省ゴジラと同じく眠りから醒めようとしているモスラの調査に当たっていた。しかも彼女は、夫マークから引き継いだ、怪獣とある種の交信が可能な「オルカ」なる機械を有していた。そんな彼女らのモナーク雲南基地に、突如謎の傭兵部隊が乱入、彼女と娘のマディソン、そして「オルカ」を奪い去っていく。

 一方、ムートーを倒して以来消息が不明なゴジラや、雲南モスラのみならず、世界中に今にも甦りそうな怪獣たちが存在していることを知るモナークは、それぞれの場所に前線基地を置き怪獣たちの監視に当たっていた。モナークの科学者の一人・芹沢博士(渡辺謙)は、雲南の事件解決のため、マークに協力を依頼。そんな折り、拉致されたエマ親子と「オルカ」がモナークの南極基地に向かっているらしいことを察知した芹沢やマークは、一路南極に向かう。南極基地ではキングギドラの監視を行っていたが、何と傭兵部隊たちは爆薬によってギドラの復活を企てようとしていた。怪獣を復活させて汚れた人類を滅ぼして本来の地球を取り戻す……そんな狂信的な思想に取り憑かれた傭兵部隊の長・アラン・ジョナ(チャールズ・ダンス)に、息子をゴジラ禍で失い半ば自暴自棄になったエマは共鳴……要はアランとエマによる自作自演の「誘拐劇」だったわけである。マークや芹沢の抗戦も空しく、ギドラは復活。そこへ登場したのが行方不明だったゴジラ。そこからまさに『キングギドラゴジラ』な死闘が繰り広げられるんだけど、その場は痛み分けに終わる。

 その後、メキシコのモナーク基地が監視していたラドンが火山噴火と共に復活。それを境に世界中で様々な怪獣たちが眠りから覚め、暴れ出してしまった。何のことはない、怪獣は上記の4頭だけではなかったのである(;^_^A 復活したラドンは、台風を伴ってやってきたギドラと壮絶な闘いを演じるが、すぐに軍門に下ってしまう。そこへゴジラが再び現れ、ゴジラとギドラの第二ラウンドが始まるが、その殲滅のため米軍が撃ち込んだ兵器が、何と「オキシジュン・デストロイヤー」!!! 結果ゴジラは海中深く消滅してしまい、ギドラは生き残るという最悪の結果を招いてしまった。

 怪獣の復活は、新たな地球のスタートを意味し、彼らの頂点に立つ“怪獣王”「キング・オブ・モンスターズ」の覇権を争う、という本作のテーマがここから始まるのである。前作の『ゴジラ』で、意図的に人類に危害を加えようとしなかった「人類との自然との共存」を意図しているかのようなゴジラ(ここら辺りは平成ガメラシリーズにおける「ガメラ」の“立ち位置”を彷彿させる)と、人類の殲滅を図るかのような「地球外生物」であるキングギドラ。その勝敗が即人類の存亡を左右する事態の中、海中に没したゴジラを深海に探し求める芹沢・マーク他モナークの面々。遂に彼らは深海深く眠る傷ついたゴジラを発見するが、ゴジラの再復活を促すためには、核兵器という“カンフル剤”が必要だった。しかし『アルマゲドン』『クライシス2050』の先例を挙げるまでもなく、こんな時に限って自動の起爆装置は故障するもので(;^_^A、結局芹沢博士が「特攻」によって、核兵器を抱えてゴジラに向かうこととなる。

 ここで注目すべきは、「息子を殺したゴジラを殺したいほど憎みながらも、人類のためゴジラ復活を目指す」マークと、「父親が広島の原爆被爆者であり、核兵器を心底憎みながら、人類のためその全否定すべき核兵器を抱えて死地に赴く」芹沢との境遇がクロスーバーして、何とも切ないシーンに仕上がっているところだ(尤も個人的には「特攻」による解決は一番嫌いだ!)。それ故、芹沢が最期にゴジラに向かって「さらば、友よ」と日本語で呟くのは、共に「核兵器の落とし子」(ゴジラは会場核実験で目覚め、芹沢は核兵器の洗礼を受けた父親の子である)であることを否応なく自覚させられる名台詞である。

 この芹沢の決死の核爆発によって完全復活したゴジラは、三度ギドラに闘いを挑む。そこに助っ人参戦するのは、幼虫として誕生後、中国の巨大な滝に繭を作って、孵化した成虫のモスラ。その容姿はあたかもモスラにバドラとメガギラスをミックスしたようで、お得感満載だった(;^_^A すると何故かラドンはギドラの側につき(軍門に下ったからか?)、「ゴジラvsギドラ」と「モスラvsラドン」が同時進行するという、『~ファイナルウォーズ』における「ゴジラモスラ軍」vs「ガイガン・デスギドラ軍」の“イルミネーションマッチ”を彷彿させる展開となっていった。その結果、ラドンを倒した手負いのモスラの自己犠牲に満ちた行動によって、ギドラとゴジラとの死闘はゴジラの辛勝に終わる。最後爆発して瓦礫に埋まった2大怪獣のうち、瓦礫からいきなりギドラの顔がぬっと出てきて、何故か黄色ではなくゴジラのごとき青白い放射能火炎を吹いたかと思ったら、それは千切れたギドラの首をゴジラが加えていて、まるでストローのように、そのまま放射能火炎を咥えたギドラの首毎放射しているっていう、ちょっぴりブラックユーモアも入った外連味たっぷりのシーンもあったよ(;^_^A そこへ集結したのは、世界中で暴れていた怪獣たち。中にはクモンガの様な怪獣もいれば、マンモスの形状の怪獣もいる、アンギラスというよりは『ウルトラQ』(「虹の卵」)のパゴスに近いような怪獣もいるし、よく見るとムートーまでいる(『ガメラ対大悪獣ギロン』における「宇宙ギャオス」のポジションか?)。それが「ギドラの敵!」とばかり、手負いのゴジラに闘いを挑むのか思ったら、まるで擬人化された漫画のように、一頭一頭ゴジラに“お辞儀”をして“ひれ伏す”のである。この荒唐無稽さにはすっかり面食らってしまったね(;^_^A

 硬質な「怪獣プロレス」な映画に、家族の絆を織り込んでしまうのは如何にもハリウッドだな、って思ってしまったり、劇中アイリーン・チェン博士としてチャン・ツィイーがキャスティングされているのは『パシフィックリム・アップライジング』同様、現在のレジェンダリーの資本が中国企業であることを如実に表しているようで何とも興味深かったり……等々いろんな思いが交錯した作品だったけど、怪獣バトルの代表されるCG特撮シーンが殆ど薄暗かったり、怪獣の生命観・リアル感出すためとわかってはいるものの、薄暗い映像で激しい動きはなかなか観辛かったなどなど、不満がなかった訳でもない。

 しかしながら、日本の『シン・ゴジラ』とは全く違うベクトル、ぶっちゃけて言うならば「東宝チャンピオンまつり」版を意識したかのような企画・作品に関しては大いに満足している。次回作の『GODZILLAvsKong』にもそんなテイストを是非期待したいと思ったね(;^_^A


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