神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

映画『いぬやしき』に求めたかったこと

 『いぬやしき』を日本映画専門チャンネルでようやく観た。この映画、シネコンのモニュメントでもTVCMでも大々的に宣伝していて、しかも主演が木梨憲武佐藤健、さらにヒロインの一人に我らが二階堂ふみも出演とあって、鉄板でヒットと思いきや、大コケしたらしい。それ故逆に興味津々だったのだが、今回の観賞をへてその理由が少しはわかったような気がした。

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 家族に邪険にされ更に末期癌の冴えないサラリーマン(父親)と、引きこもりの親友を持つ高校生が、いきなり宇宙人によって万能の機械の身体をもらう、というか強要される……そんな思いがけない「仮面ライダー」のような彼らが、その能力によって何をしでかすか、ってのが本作のテーマだと思う。しかしそんな設定ながら、物語は意外なまでファンタジーの様相を呈していて、特殊能力を持った2人が、それでも現実世界のしがらみを引き摺ったまま、重苦しいバトルを展開していく。勿論原作ありきの企画なんで、ある種原作に忠実な世界観が展開するのはやむを得ないと思いつつ、その予告編では、クライマックスの開放的なハチャメチャな両者の飛行アクションを中心に描いていただけに、その背景にある重苦しい設定を湛えた実際のシーンはそんなに楽しめなかった。

 きっと原作を知らないままこの映画に興味を持った一般の観客からすれば、既に「とんねるず」で馬鹿馬鹿しいコントを演じていた木梨には馬鹿っぽいスカッとする特撮アクションを期待していたのではないか。それは佐藤健もしかり。2人が志し低いまま、東京の街を意味もなく大破壊していく軽いアクションならば、もっと受けたと思う。これだけのスペクタクルにヒューマンなテーマまで欲張ろうとするのは、ある種邦画の悪い癖だ。ファンタジーはファンタジーとして別作品で描けばいい。

 絶望的な環境の中で思いがけず無敵の力を手に入れた2人が互いに反目しながらも、最後は『マジンガーZ対デニルマン』のように一位団結して、世の中の卑劣な悪に正義の鉄槌を下す……そんな映画だったら、みんな諸手を挙げて支持したんじゃないかな?

 そう考えると、往年の香港アクションの、闘いが終わり悪党が倒されれば、それまでのいきさつは一切お構いなしってノリが、当時もてはやされたのも頷ける(;^_^A


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