神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

震災とCM自粛

 今年で、俗に“平成ガメラシリーズ”の銘打たれた3部作の第一弾『ガメラ 大怪獣空中決戦』が3月11日に公開されて、丁度25年目にあたる。実は今日は、1995年に“阪神淡路大震災”が発生してから、同じく25年目を迎える「祈りの一日」だが、ここで敢えて『ガメラ』の話題を持ち出したのには理由がある。

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 1971年の『ガメラ対深海怪獣ジグラ』(湯浅憲明監督)以来、24年ぶりに“大映ガメラ”が復活するとあって、絶大なる期待を一身に受けた『ガメラ 大怪獣空中決戦』(金子修介監督)。その公開を2ヶ月後に控えた1994年年末~1995年年始の辺りは、まさに作品PRの最盛期といってもいい時期であった。そんな時に、阪神淡路大震災が発生した。その後、東日本大震災を筆頭に、この国では頻繁に大災害が起こるようになってしまったが、当時は関東大震災以来と言っていい大都市型地震で、死者・行方不明者の数も驚くべき数字に上った。都市機能(流通の大動脈)の麻痺といい、日本国中がこの事態に震撼したものだった。

 そんな中、『ガメラ 大怪獣空中決戦』のTVCMに「待った」がかかった。予告篇の中に登場する都市破壊のシーンが、震災を連想させるというのが主な理由だが、それによって『ガメラ』はCM放送自粛の憂き目に遭う。大傑作の誉れ高い『ガメラ 大怪獣空中決戦』だったが、興行収入は制作費とほぼトントンの5億円あまり。そうなると、この直前のPR不足が観客動員に暗い影を落としたのかも知れない……

 当然ながら、辛い現実を想起させるものは流すべきではないし、それ故このCM自粛の判断を非難するつもりはない。ただ、この予告篇の一部に過ぎない都市破壊のシーンにそこまで目くじらを立てる必要があったかどうかは如何ともしがたい。そもそも、この種の事態が発生した際、往々にして起こる“自粛”の目的が、本当に被災者を慮っての行為なのか、単に後から批判されるなど“自分に火の粉が降ってくる”ことを怖れての極めて自分(自社)勝手な判断によるものではないのか、なんてことも検証しなくてはならないのではないか?

 心のこもっていない・相手の立場に立っていない上辺だけ“自粛”は、単に表現の自由を奪うだけにしかならないのではなかろうか?