『カリオストロの城』に“王道”の涙を……
そもそもこの作品自体、主人公たちが困難を克服し、ついに“無償”の大勝利を掴む設定といい、ラストに何とも切ない余韻を残しつつハッピーエンドで大団円を迎えることといい、実は“異色作”ではなく極めて王道のエンターティメントだったりする。
ラストシーンにおいて、王族の略歴を捨ててまで盗賊として「おじさま」(ルパン)について行くと、男女の関係を超えてルパンを抱きしめるカリオストロ家の王女・クラリスに対し、娘の様ないとおしさと仄かな恋心を滲ませつつ、敢えて彼女の手をふりほどき、敢えて唇ではなく額に口づけし、彼方へと去っていくルパン。このまるで任侠映画のようなストイックなシーンに、まず涙が溢れてくる。そこへだめ押しのように、かの銭形警部の名台詞「いや、奴はとんでもないものを盗んで行きました……あなたの心です」が出てくるともうダメ……バックに流れるテーマ曲「炎のたからもの」と共に、もう号泣ものである(;^_^A
この『カリオストロの城』が公開されたのは1979年。はや40年近く前の作品なのに、未だ色褪せない。この想いは10年後も20年後も……おそらく死ぬまで変わらないと思う。こういう映画こそ名作・古典と称されるにふさわしい作品なのだろう。