“誰”がシャトルを破壊したのか?
もう、書かずにはいられない……
スペースワールドの象徴ともいえる原寸大模型のスペースシャトル「ディスカバリー号」の解体が報じられたのが先日19日。それから半日を待たずして、既にシャトルの軌道船を何の躊躇いもなく無惨に破壊してしまった。確かに解体の仕方に文句を付ける筋合いはないが、せめてこんな無遠慮で無慈悲な“破壊”は止めてほしかっ
た。
ほんの9日前、観てきたばかりのシャトルだ。その時は、それから僅か10日足らずでこの世からなくなってしまうなんて知るよしもなかった……もし知っていれば、娘共々もっと別れを惜しんだだろうし、もっともっと写真を動画を撮っただろうし、無念は尽きない。もっとも、遙か広島の地から、たまたま旅行の機会に恵まれ、たまたま付近のホテルを予約したのは、今思うと“虫の知らせ”だったのかも知れない。
上下共に2018年11月11日撮影
破壊に荷担した作業員を責めることは出来ない。彼らは指示に従っただけだ。彼らに怒りを持つことは『私は貝になりたい」の無機質な判決・処刑を肯定するようなものだから。それよりも、自らの経営不振を肩代わりし、黒字まで計上するほどの回復をもたらしてくれた加守観光を裏切り、裏約束でイオンにスペースワールドを打った新日鐵と、更地での土地譲渡を迫ったイオングループの無慈悲さこそせめるべきである。
何もなくなって更地となった“福岡県北九州市八幡東区東田2丁目3”の土地にいったい何の魅力があるのか? 何故人気のテーマパークを敢えて更地にする必要があったのか? 新日鐵とイオングループに改めて問いたい。2年前に過去最高の黒字を出したスペースワールドが存続していれば、そもそもシャトルの10億円の維持費を心配する必要もなかったのだから………
昨年末に閉園したスペースワールド(北九州市八幡東区)の跡地で20日午前、スペースシャトルの模型の解体が進み、「オービター」と呼ばれる軌道船本体が撤去された。園のシンボルであり、街のランドマークだった「機体」は、轟音(ごうおん)と、見守る市民らの悲鳴の上がる中、ゆっくりと崩れ落ちた。
大半の遊具や施設は、すでに他の遊園地などに譲渡されたり、解体・撤去されたりしている。スペースシャトル「ディスカバリー号」の実物大模型(高さ約60メートル)は譲渡先がなく、一時は存続を検討した市も、10億円と試算された費用がネックになって、引き取りを断念した。
解体作業は19日に始まり、20日朝から本格的な工事に入った。アームの先に鉄骨カッターが付いた重機が、軌道船を片側から徐々に解体し、中の骨組みが丸見えになった。
午前11時過ぎ、中ほどに亀裂が入った軌道船を、アームが横から押すようにすると崩落した。
園のそばのマンションに住む主婦の中野敦子さん(64)はシャトルの立つ園を、部屋のベランダから日々、見てきた。この日、シャトルのそばで工事を見守っていると、急にものすごい音が鳴り響いた。「あれほど大きい物が倒れるのを見たのは初めてで驚いた。見届けられてよかったけれど、だんだん寂しさがわいてきた」と話した。