神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

訳あり『ファンタスティック・フォー』

 かの昔、アメリカのアニメで邦題『宇宙忍者ゴームズ』ってのがあって、キャラクターの一人“ガンロック”の「ムッシュムラムラ」ってかけ声が、今も耳に残ってるんだけど、そのアニメのハリウッド実写版が、今回の『ファンタスティック・フォー』。

 この『ファンタスティック・フォー』には、最初ロジャー・コーマンの御大の手によって制作されたが公開に至らなかった1994年版と、ジェシカアルバ嬢がヒロインを務めた2005年版(『超能力ユニット』)・2007年版(『銀河の危機』)があるが、今回観賞したのは2015年に公開された、幻のロジャーコーマン版を入れると4本目のリメイク作品である。

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 物語は、主人公の2人リードとベンとの少年時代から描かれていて、彼らの親友ぶりが、後の彼らの確執と共闘の伏線になっている。そんな彼らにジョニーとヴィクターを加えた4人が、リードの恋人であるスーと共に物質転送装置を発明し、その試運転でスーを除く4人が未知の惑星にテレポートしたものの、そこでヴィクターは遭難し、残った3人も惑星のエネルギーによって変質、しかも帰還時にスーまでそのエネルギーを浴びてしまい、リードは全身をゴムのように自在に変化できる“Mrファンタスティック”に、ジョニーは全身を炎のように燃やし空を飛ぶ能力も身につけた“ヒューマントーチ”に、ベンは岩のようなゴツゴツした身体で怪力を発する“ザ・シング”に、そしてスーは自らの肉体を透明化し、しかもバリアー能力まで身につけた“インビシブル・ウーマン”に変貌を遂げてしまう。

 そこからはお決まりの、彼らを軍事目的に利用しようとする政府関係者の暗躍や、変貌してしまった4人の苦悩などが展開し、「もうそろそろあこぎな政府のやり口に怒れよ」って思っているウチに、突如謎の惑星で行方不明になったヴィクターが地球に帰還する。しかも事故から1年後、何もない環境で惑星のエネルギーによって救われた彼はすっかり“ジャミラ”化していて、地球を憎み、その破滅を画策する。そんな彼を阻止すべく、4人は戦いを挑むのだが、それまでの冗長なドラマの中でそこだけが大いに盛り上がるシーンとなっている。しかも全編100分の尺でヴィクターの登場はラスト30分辺り、そこから怒濤のようにというか、なんともめまぐるしく物語が展開していき、何やら訳のわからないうちに予定調和の結末を迎える。そこら辺は観ていてなんとも食い足りなかったなぁ……

 また、彼らの研究の場であり、また物質転送装置が備えられている場所とはいえ、全編の殆どがその研究室(とその装置によって繋がる謎の惑星)で展開していくのは、ハリウッドSF超大作にしては、閉塞的で物足りなさを感じた。Drドォーム(ヴィクター)が引き起こしたブラックホールによって都市が破壊されるスペクタクルもワンシーンのみだったし、もっと魅せ場がほしかった、ってのが率直な意見だ。

 話しによると、監督のジョシュ・トランクがストーリー展開に関わることで20世紀フォックスと衝突し、彼が本来撮ろうとした作品とは別物になってしまったそうなのだが、もしそれが本当の理由ならば、何ともお粗末な話しだ。続編が撮られるかどうかは定かではないが、次こそはもっとしっかりやってほしい。

 そうなってくると、無性にロジャーコーマン版“幻”の94年版『ファンタスティック・フォー』が観たくなってきたよ(;^_^A