神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

「ジュテームはさよならの始まり」が聴こえる……

 過日、CSのムービープラスで『サンドラ・ジュリアン/催淫吸血鬼』なる映画が放映されて、このタイトルの「サンドラ・ジュリアン」って名に思わず録画してしまったんだけど(生憎未見(;^_^A)、サンドラ・ジュリアンといえば、東映ポルノ路線の徒花『現代ポルノ伝 先天性淫婦』と『徳川セックス禁止令 色情大名』に相次いで出演した、フランスを代表するポルノ女優である。『徳川セックス禁止令』のぶっ飛んだ映画世界に腰を抜かし、彼女が舌足らずなたどたどしい日本語で歌い上げる劇中歌「ジュテームはさよならの始まり」が耳から離れなくなってしまった身としては、何とも懐かしさがこみ上げての録画だったんだけど、この作品って、彼女の主演デビュー作だったらしい。


 さて、以前から紹介している鈴木則文監督の「東映ゲリラ戦記」では、このサンドラ・ジュリアン来日と映画撮影にまつわるエピソードもいくつか紹介されているんだけれど、両作とも鈴木監督によるものだっただけに、そこら辺の話は実に豊富だ。

 『温泉みみず芸者』でいきなりブレイクした池玲子を更に売り出すために、天尾プロデューサー・鈴木監督の名コンビが新たに企画したのが『現代ポルノ伝 先天性淫婦』である。もともと鈴木監督は池玲子に“ファムファタール”役をあてがい、タイトルも『先天性悪女』とするつもりだったのが、当時の撮影所長だった岡田茂の鶴の一声で『先天性“淫婦”』となったらしい。そんな中、その相手役として来日したサンドラは、東映に乞われたというよりも、自分自身日本に大変興味を持っての来訪だったそうで、来日早々、太秦で着物姿になって大はしゃぎしたり、漢字を少しでも多く覚えようと必死になったりと、その親日ぶりを遺憾なく披露したようである。そんな彼女のエスコート役を務めたのが、かの名和宏だったエピソードには笑わせてもらった(;^_^A  

 そんな彼女は、日本のマスコミから「ポルノ女優」呼ばわりされることに抵抗を覚えていて、そんな彼女に鈴木監督は、「巴里」という漢字を教えると共に、「今度また来日してくれたら、二度と“ポルノ女優”なんて呼ばせないよ」と声を掛ける。何てロマンチックなエピソードだろう(;^_^A そしてそれが二度目の来日と『徳川セックス禁止令』制作に繋がっていくのである。

 エスコート役で勝手知ったる名和宏が相手役(唐島藩の藩主=色情大名)を務めたことや、また前作の端役からメインに抜擢されたことも相まって、彼女は前作以上に張り切って、本名と同じサンドラ役を熱演する。その熱演ぶりを、封切後何十年も経て、レンタルビデオで拝見した次第である。初見がその熱演だった、ってのも幸運だったよな(;^_^A

 こんなエピソードを知れるだけでも、「東映ゲリラ戦記」は“心の書”って呼べるくらい大切な一冊となったよ(;^_^A