神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

スウィングする映画

 往年のハリウッドスラップスティックコメディの金字塔『ブルースブラザーズ』の中でも、特に好きなのが、前半のブルースブラザーズバンドがとあるカントリーバーのライブに乱入するシーン。カントリーソングにしか興味を示さず、気性が荒くて手当たり次第ものをステージに投げつける(それ故、演奏バンドを保護する鉄柵まである)激しく観客の前で、あろう事か自前のロックを披露するバンド。当然観客の怒りを買い、店の主人からは電源まで切られた彼らは、急ごしらえの「ローハイド」を演奏し、その場をしのごうとする。そこからがこのシーンの真骨頂で、彼らの「ローハイド」に今まで怒っていた観客は狂喜乱舞!(ここら辺があまりにも単純明快!) 今度は感激のあまり彼らめがけて祝福のビール瓶を投げつける。


 このシーンが素敵なのは、観客の要求に応え、それに敏感に反応する観客とバンドとのやり取りなんだけれど、其れと共に、客席とステージとがスウィングする様がひしひしと伝わってきて、それがまた感動的なのである。

 ほかにも、邦画の『リンダリンダリンダ』のクライマックスの文化祭ライブシーンで、雨の中傘もなくずぶ濡れになって会場にたどり着いた主人公の女子高校生4人が、ライブのラストにギリギリ間に合って、唐突にブルーハーツの『リンダリンダ』を熱唱する場面での、体育館の観衆が徐々に彼女らの演奏に引きつけられいく様が、彼女らと因縁ある男子高校生や顧問教師の思惑も相まって、壮大なスペクタクルに繋がっていくシーンもとても素晴らしい。また上記の『ブルースブラザーズ』との共通点として、双方共に観客の心をグット掴んだ上で、次なる楽曲が始まり、より大盛り上がりで受け入れられる、という展開が待っており、感動は頂点に達する。


 先日観賞した『リンキング・ラブ』においても、制服姿のASG16の面々が屋外ステージで「公開練習」で男子学生のハートを一気に鷲掴みにし、その流れで学祭ライブに突入。実際のAKBのライブと同じ光景なんだろうけど、オールスタンディングの会場で彼女らに合わせて男子学生たちが嬉々として同じ振り付けで踊り狂うシーンもこれらと同じ雰囲気を持っていて、この作品に心惹かれる要因の一つとなった。


 このように、「客席とステージのスウィング」ってのが大好きな自分としては、折角前作の『女子高生戦士☆英あいり』の中で初めてライブのシーンが撮れたのに、そして主人公のあいり嬢とエキストラなどで集まってくれた観客役の皆さんが十二分に“スウィング”してくれたのに、演出でそれを十分に生かし切れなかったことには大いに反省している。もし演出やアングルにもう一歩踏み込めたら、きっともっと素晴らしく感動的なシーン・カットを撮れたかも知れない。演出者として反省する所しきりである。

 でも実際には更に欲張って、上映する映画と観客の皆さんとがスウィング出来るような作品を作っていければ、と考えている。その為にもスウィングしやすい“笑い”の要素・センスをもっともっと磨いていかないと………