神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『リンキング・ラブ』!!

 久々に“超”正統派の「アイドル映画」も魅せてもらった! それもアイドルが主人公の映画ではなく、文字通り王道の「アイドル映画」である(^^) 鑑賞後、大いなる“感激”と若干の“興奮”さえ覚えながら、ここにその作品『リンキング・ラブ』の感想を記す(;^_^A

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 AKBに憧れる主人公の女子大生・美唯(田野優花)は、突然両親の離婚危機という一大事に遭遇し、そこに「都合良く」現れた守護神の魔法使い(西村雅彦)の力によって、両親の馴れ初めのきっかけとなった二人の学生時代、“バブル”が終焉を迎えた1991年にタイムスリップする。そこには、お互いに思いを寄せながら、何故かすれ違いをする若かりし頃の母・真塩由美子(石橋安奈)と父・茂手木健一郎(白州迅)と出会う。健一郎の気を引くためミスコンにまで挑戦する由美子と、極度のアニメ・アイドルオタクで、リアルな異性とのコミュニケーション下手の健一郎の中を取り持つため、そして二人が結婚しなければ自身の存在が歴史上から消滅してしまう立場にあるため、美唯は由美子をアイドルに仕立て上げ、学際でミニコンサートを開催し、健一郎の気を引く作戦を練る。そこに、百合子と同じミスコンに参加した自意識過剰な北川梨奈(樋井明日香)、南田早織(未浜杏梨)、そして彼女の親友の母親の若き姿である寺島弘美(益田恵梨菜)が加わり、美唯と共に5人組の「CoCoREBORN」を結成し、学祭当日を迎える。しかしそのライブは失敗に終わり、しかも美唯は未来から持ち込んだスマホを、C調男の牛尾(落合モトキ)に発見・横取りされてしまい、その中に録画されていたAKB48の映像から、彼がそれを模した「USO(UShiOのイニシャルから?)48」をプロデュースし、タイムパラドックスが生じてしまう。その結果、牛尾は富と名声を謳歌し、そんな彼と母・由美子が父と離婚して再婚してしまい、ますます状況を悪化させてしまう。その上、歴史が変わることによって美唯の存在さえも消えていくことを、これも突然登場したタイムコップ(大倉孝二)から告げられた彼女は、意を決して、牛尾に先んじて90年代に「AKB」のノリを自らの手でプロデュースすべく、再び守護神の力を借りて過去にタイムスリップする……

 過去に戻って若かりし両親の間を取り持つことや、過去に干渉したことで敵役が巨大な権力をもつ等々、ハリウッドの『バックトウザフューチャー』に代表される数多の「タイムスリップもの」の王道パターンながら、登場人物の誤解は多少あるものの「親が主人公に恋してしまう」というまどろっこしい展開や、強権を持った敵を苦難の末打ち倒すまでのやきもきする過程がないのは、かえって観ていて小気味よい。主に文化のギャップを軸に、90年代の文化(それも個人的にはリアルに体験してきた(;^_^A)に主人公が翻弄される描写に重きを置き、未来の彼女が過去によって成長していく過程が丁寧に描かれているのが良かった。敵役の牛尾が思ったよりずるさもしたたかさもなく、そして恋の横恋慕的な展開もないまま、それとは別の理由でライブ直前の由美子を拉致し、それを美唯が必死に追いかけ、何とか二人揃ってライブの最後に登壇し華を添えるってクライマックスも、意外と安心感があって、いい意味で“予定調和”な展開だったと思う。

 それと特筆すべきは、主人公・美唯役の田野優花と過去の母親・由美子役の石橋杏奈との身長差にある。そこまで計算してのキャスティングだったかどうかは知れないが、二人が対峙するとどうしても石橋の方が田野よりも高く見える。これって意外と重要で、この世界(時代)では2人はほぼ同じ年齢であるものの、石橋(由美子)の方が背が高いことによって、無意識に由美子が美唯の親だと納得できるからだ。そんな2人が並んで会話を交わすショットがある所など、心憎い演出だと思ったね(;^_^A

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 劇中、ホンダビート、ボディコン、ワンレン、ジュリ扇、アッシー君、ミツグ君、ルーズソックス、そして80年代の数多のアイドルのポスター・ピンナップが所狭しと貼られた「アイドル研究会」部室の描写等々、既に社会人になっていたけれど、鮮明に記憶に残っている当時の風物が惜しげもなく描かれているのは、個人的にも嬉しかったなぁ(;^_^A 金子修介監督自身がこの年に撮った『就職戦線異状なし』の映像や話題も登場するなど、監督自身のセルフパロディーもふんだんに登場し、それも興味深く且つ楽しかった(;^_^A

 金子監督の作品では、近作の『少女は異世界で戦った』も大好きな1本なんだけど、あの物語では健気な主人公の少女たちの悲劇的結末が可哀相で可哀相で………その点この『リンキング・ラブ』の登場人物は、とてもキュートで愛らしく、その上最終的にはこれ以上ないハッピーエンドを迎える。エンディングタイトルの前に、そのサクセスストーリーが疑似歴史の年譜のように克明にスチールとテロップで表示されるのが、そのハッピーエンドぶりをより強調してくれる。

 劇中、実際のAKB48の楽曲が、旧作とはいえ振り付けも含めまんま女優によって演じられるのだけれど、この、映画用に編成された16人の「ASG16」が演じるAKBの楽曲ライブのシーンは別の意味で興味深く愛らしく、とりわけ(おそらく)唯一のAKBメンバーである(とはいうものの今年になって“卒業”したそうだ)田野優花にとっては、この作品で「センター」を務められたのはまさに「面目躍如」だったんじゃないか、なんて微笑ましく思ったね(;^_^A そうそう、初の公開練習で、衣装がまだ出来ていないメンバーが、各自高校時代の制服を持ち寄って着こなして臨むシーン(しかも歌うは「制服が邪魔をする」!!)は、破壊力抜群で泣きそうなくらい感動的だったよ

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 何はともあれ、「予定調和」「勧善懲悪」「昭和の残滓の残る『バブル末期』の時代」「アイドル」「ハッピーエンド」といった、私の好きな要素が全て詰まった、宝物のような映画だった。広島で劇場公開されたか否かはわからないが、ホント、映画館のスクリーンで観たかったよ!!  自分も出来ればこんな映画を、広島でアイドル集めて撮れたらどんなに幸せか、って思ったね(;^_^A やっぱり自分は「アイドル映画」が好きなんだって、改めて実感(;^_^A

 ちなみに。本作に登場する石橋杏奈樋井明日香、最近どこかで観たなぁって思ったら、石橋杏奈は最近CSのファミリー劇場で放映された『LIFE!~人生に捧げるコント~』の常連女優で、樋井明日香の方はテレ東(BSジャパン)の『くノ一忍法帖蛍火』に登場する、ちょいとおばかでしたたかなコメディーリリーフ的キャラのくノ一・お玉役の子だったよ(;^_^A 石橋の方はまんまのキャラだったし、樋井の方も、ボディコン・ワンレン・ジュリ扇の向こうっ気の強い梨奈とお玉じゃギャップがありそうだけれど、意外と根っこは同じキャラだったように思う(;^_^A