神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

今更『SPACE BATTLE SHIP ヤマト』

 初めて『宇宙戦艦ヤマト』のTVアニメが放映されたのは1974年。未だ“昭和ゴジラ”も作り続けられていたし、ウルトラシリーズも健在、と特撮映画・ドラマがまだ一般的な時代だったんで、このアニメ(当時はテレビマンガ)を観た時には、「どうしてミニチュアでやらないのかなぁ」(当時は“特撮”という言葉は一般的ではなかった)なんて思ったものだった。でもまさかそれから36年後に、本当に実写特撮ドラマになるなんて、思いも寄らなかったよ。

 もう公開からすでに8年が経過しようとしているけど、最近CATVで垣間見たので、そこで思ったことを、今更ながら書いてみたい。

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このキャッチコピーからして、いきなり「看板に偽りあり」?!

 そのCG特撮映画『SPACE BATTLE SHIP ヤマト』は、公開前後から賛否両論が渦巻いたが、『宇宙戦艦ヤマト』(イスカンダル篇)と『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』をない交ぜにしたようなストーリーには、制作者サイドのバランス感覚とそれなりの配慮が感じられるし、キャスティングに関しても、島、古代守、真田、齋藤、徳川、藤堂司令長官、そして沖田艦長あたりの人選はなかなか秀逸だったと思う。デスラー伊武雅刀、アナライザーに緒方賢一(イメージはやはり『チャーリーズエンジェル』のボスレーかな(;^_^A)をそれぞれ声優として配したのも、オリジナルに対するリスペクトのように思えてならない。

 ただ、それで面白かったか、というと、いささか思うところがある。それは第一作の壮大に絶望的な旅路を描きながら、結末に『さらば』の“特攻”を入れてしまったことに対する不満だ。すでにガミラス星に到着した辺りから、すっかり物語は『さらば』の悲壮感に包まれてしまうんだけれど、ベースが片道14万8千光年の果てしない旅を期限内に終えなければならない第一作である以上、もう素直に地球に帰還させなきゃ。そのアニメ版第一作では、沖田艦長の死をドラマチックに描く(そしてその引き替えに森雪が甦る)ことによって、ある種の“人柱”たり得ていたはずなのに、この実写特撮映画版では、更に主人公の古代進に『さらば』と同様「死」を賜わせるなんて……(かろうじて森雪は生き延びるけれど……) いくらラストを劇的に描きたかったにしても、ちょっとやり過ぎだったんじゃないか、って思ったね。何とも後味が悪かった。ヒーローの犠牲的行動が美化されるストーリーって胡散臭いし、ここは一つ、第一作のラストのように、気持ちよいハッピーエンドを演出してほしかったね。 

 後味が悪いと云えば、オリジナルの『宇宙戦艦ヤマト』の原作者といわれる西崎義展氏が、映画化を巡り、キャスティングにことごとくNGを出して現場を混乱させた挙げ句、2億円で“手打ち”をした、という話をとある書物で見掛けたんだけど、その西崎氏がこの作品が公開されるひと月前、船から転落して謎の死を遂げたことも含め、何ともいやなエピソードが残っている……