神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

ファンタジーな自主映画の頃

 ヒロインアクションブログを標榜しながら、ここ数日大林宣彦監督の「尾道三部作」、とりわけ『さびしんぼう』についてばかり言及してきたので、分量の割にはアクセス数が下がっていたりする(;^_^A それでもまあ、自分の映画制作の原点はファンタジー系の作品だったのでご容赦を……思えばファンタジーとヒロインアクションムービーの橋渡しになったのが、やはりファンタジーの主人公のようなセーラー服の少女が大格闘する『スケバン刑事』だったのかもしれない(;^_^A さすがに同じセーラー服でも東映ピンキーヴァイオレンスの“ズベ公”映画えはこうはいかなかったと思うし……ヾ(--;)

 それにしても、しばらくの間“予定調和”“勧善懲悪”のB級アクションにすっかり傾倒してしまって、撮る方もヒロインアクションムービーに特化してしまっていたが、映画制作そのもののきっかけは、何度も書いたように『さびしんぼう』を観てから。そこで大学で映画論を聴講して、初めて本格的な8ミリ映画制作を、それも授業という名目で大学の予算で機材で撮れたのだから、何とも幸運が重なって今日の自分があると、その点は感謝している。

 処女作は、DNAとRNAの人為的な操作によって、中学生の男子生徒が、亡くなった女生徒と定期的に入れ替わってしまう、というSF漫画を題材にした『新人代謝』なる映画で、約3ヶ月かけて完成にこぎ着けた。続いて大学に在学中にもう一本と、1月中旬に企画して、2月に撮影、その月の末には上映(とはいっても身内で)出来た、カメラに女子大生を絡めた不思議なファンタジー『陽光で描いた風景画』を作った。タイトルは「写真」をイメージしたもの。それにしても、男女が入れ替わる処女作といい、一眼レフカメラにまつわる第2作といい、『転校生』『さびしんぼう』といった大林監督「尾道三部作」の影響をモロに受けていたんだなぁと改めて実感(;^_^A

 その後帰郷によって一度は諦めていた映画制作も、職場に8ミリに精通している同僚(先輩)がいたことや、、出演してくれる子らもいてくれたんで、ヒロインは小学時代の同級生に頼み込んで出演して貰い、何とか広島での第一作『いつも見ていたヒロシマ』という、原爆をテーマにした『ふたりのイーダ』のようなファンタジー映画を撮ることができた。この時、前日のブログにも書いた尾道出身の友人も撮影の手伝いに来てくれて、その彼を尾道まで送った際に、『さびしんぼう』に登場する「福本渡船」の地元での愛称が「一円ぽっぽ」であることを教えて貰い、それが今の主宰する映画制作サークルの名称を「イチヱンポッポフィルム」にしたきっかけとなった。

 それから、島の娘が“マリッジブルー”から単身無断で広島の街に訪れいろんな出会いと別れをする『午下がりのシンデレラ』、双子の死んだ妹が姉の瞳に宿って、姉の行く末を見守る『瞳』、再び原爆をテーマにし、フルートを愛する主人公と被爆死しフルートの精霊となった娘との交流を描いた『シューリンクス』、些細なことで彼氏と喧嘩した主人公の中を取り持つべく、写真の中の過去の自分が飛び出して奔走する『もっと素直に…』、あるトラブルを救ってくれた見ず知らずの男性を探し求め、挙げ句はストーカーと化してしまう主人公の狂気を描いた『こねこのらねこまいごのこねこ』、自分の過去に未練を残す主人公の後悔を、高校時代の彼女が埋め合わせようと現世に甦る『川の流れのように』、カメラ好きで恋愛に疎い主人公の元にある魅力的な男性が現れるが、その正体は……といったノリの『思い出はあしたから』、そして前述の『新人代謝』のリメイクと、一貫してファンタジー系の映画を撮り続けてきた。それが、その次に、主人公が勘違いからモデルガン片手に暴力団事務所に殴り込むスラップスティック活劇『むてっぽう。』、胃腸が弱い武道家が、牛乳を克服するまでを描いたコメディー『タフ☆ガイ』を撮ったあたりから、徐々にアクションや活劇にも手を伸ばし、黄昏れた男と謎の「通りすがりの女子高生」との交流をファンタジ&ギャグの2部構成で描いた『幻触』と、ガチガチの難病モノだった『AGAPE』を撮った後、『天使諜報★神宮寺真琴』『特命探偵☆葛城アキ』『電光石火☆八城忍』『学園特捜☆伍代聖羅』そして『女子高生戦士☆英あいり』と続く一連の“広島発ヒロインアクションムービー”路線へと向かっていくことになる。

 『さびしんぼう』が封切られてからはや32年、そして奇しくも私が今日まで続く映画制作を始めてからも今年で32年。テーマは年を追うごとに可変してはいるけれど、その根底にはいつも『さびしんぼう』があった、「尾道三部作」があった。

 まあ、いずれは「原点回帰」してみようかな(;^_^A