神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

“通り魔的トラウマ”映画との遭遇体験

 昔、週末には深夜に洋画が流れていた。ラインナップは結構B級のSFやホラー……それこそ往年のNET『土曜洋画劇場』辺りで放映されていそうなものばかりだったが、その中には、何の予備知識もなくつい観てしまって、あまりの内容に「通り魔的トラウマ」を植え付けられてしまった作品も多い。

 そんな中の一本に、題名が分からなくてずっともぞかしく思っていた作品があった。内容は、ピーター・カッシング演じるところの外科医が、顔に火傷を負ったフィアンセの為に、若い女を襲っては脳下垂体を奪い取り、その髄液(か何か)によって、火傷の皮膚を治療する、というなんとも凄惨な内容で、中でも劇中、汽車の車内の個室で乗り合わせた女性をカッシングが殺し、その首を切り取って持ち去るシーンや、その生首を冷蔵庫に保管していたところ、何も知らない別の女が発見して悲鳴を上げるシーン(血でベトベトになった金髪が気持ち悪いくらいにリアル!)の、まさにトラウマとして脳裏に刻み込まれていた。

 後に、いろんなホラー映画の情報を知るにつけ、おそらくこれは『顔のない眼』か、それをジェス・フランコがリメイクした『美女の皮をはぐ男』辺りではないかと目星をつけたものの、こっちの方は同じ境遇の身内のために、医者が直接被害者の女性の顔の皮膚を剥ぎ取るストーリーなんで、「生首」「脳下垂体」っところでどうも行き詰まってしまう。ピーター・カッシング故ハマーのホラーかと思ったが、それも違いようだった。

 それが、この度洋泉社の「映画秘宝」最新号に合ったDVD新譜の紹介記事で『狂ったメス』という映画を発見して、ピーター・カッシング主演といい、いくつかの共通点を見つけ、早速自宅に帰って検索したら、まさにこの『狂ったメス』こそ、私が長年探していた映画と判明した。

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 当時の予告篇もYoutube上にあって、久しぶりに観賞したんだけれど、てっきりモノクロだと思いこんでいた本作がかラー映画だったのにはビックリした。どこかで記憶違いしていたのだろう。

 ところで、本作はやはり『顔のない眼』の亜流として制作されたみたいなんだけれど、「脳下垂体」を狙うという点で、より凄惨な作品に仕上がっている。そして改めて思い出したのが、事件が発覚して収拾がつかなくなったカッシング医師の手術室のレーザーメスが突如暴走して、辺り構わず人間を切り刻み、結局カッシングを含め皆死んでしまうという一大カタストロフィーなエンディングだったことだ。しかもその直後、何故か生きているときのカッシングのアップが唐突に映し出され、そこにそれまで登場人物のたわいのない会話がエコーかかって被さり、作品が幕を閉じる、というなんとも不条理な終わり方だったことも思い出した。そこら辺も、この作品にトラウマを覚えてしまった理由の一つだったように思う。

 メジャーな作品はともかく、こんなB級で、ともすれば題名を覚える暇もなく、しかも二度と放映されないような作品で強烈なシーンを観てしまうと、ホント「通り魔的トラウマ」を与えられてしまう。

 でもネット社会で情報過多な現代では、逆にそんな体験は少なくなってしまうんだろうな……うぅん、怖いけど複雑………(;^_^A

 ※ちなみに『狂ったメス』という題名は、ラスト暴走するレーザーメスのことを指していると思い、「なんとも洒落た題名をつけたものだ」って感心したんだけれど、実は本作の現代は『Corruption』でその意味は「堕落・邪悪」なんだそうだ。するとこの気の利いたタイトルを考えたのは、日本の映画宣伝部?Σ(゚д゚;)