神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

“半分ヤケクソ”で楽しめ「東映プログラムピクチャー」!

「半分ヤケクソでんがな……」

 これは『資金源強奪』で主人公の北大路欣也が、暴力団から奪い取りながらも取り戻された資金源数億を、単身安部徹の組事務所に奪い返すために乱入した際吐いた名台詞だが、この「半分ヤケクソ」という台詞に、妙に共感したりする。

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 ここ最近の閉塞感に束縛された社会や、なかなか上手く運ばない身の回りの積み残し問題を考えると、半分“ヤケクソ”になりたくもなる。もっとも心で「半分ヤケクソ」と呟いてする行為も、ぜいぜいいつもより酒の量を増やすとか、朝飯代わりにカップラーメンを食べるとか、昼食で安いうどんではなく350円のランチを食堂で食べる贅沢をするとか、健康・経済の面で羽目を外す程度だったりするんだけどね(;^_^A   ただ、この「ヤケクソ」も、開き直って思い切った行動に出るエネルギーになるのなら、少しは役に立つだろう(;^_^A

 さて、論点はずれちゃったけど、60年代前半まで隆栄を極めながら、それをピークに、テレビジョンという新たなライバルを前に、一気に斜陽の下り坂を転がり落ちた邦画界にあって、再出発を余儀なくされた大映・日活を後目に、東映が選んだ道は、まさに「ヤケクソ」路線だったといっても過言ではない。映画の王道を脱却し、「異常性愛路線」「時代劇ポルノ」「ピンキーバイオレンス」「実録映画」「漫画原作」「アニメ」「テレビ特撮」と映画・テレビの狭間に悉く食い込み、激動の70~80年代を生き抜いてきた。そんな中で「人造人間キカイダー」でヒーロー・ジローを演じた伴直弥が『処女監禁』では三崎奈美を監禁するストーカー男を演じたり、『暴走パニック大激突』で陰湿な男色医師・林彰太郎に散々弄ばれる修理工を演じた風戸佑介が『ジャッカー電撃隊」のクローバーキングだったり、特撮ヒーロー界では大御所の“早川健”こと宮内洋が『現代ポルノ伝 先天性淫婦』では池玲子に弄ばれるうぶな男を熱演したり、とその節操のなさはある種素晴らしかった。

 当時の東映の心意気の中には「テレビでは出来ないことをやる」という明確なポリシーが合ったような気がする。だから、昭和40~50年代の東映映画を観るのは楽しい。そこにはなにやら「観てはいけないものを観てしまった」後ろめたさフが常につきまとうから……

 「半分ヤケクソ」な映画群を「半分ヤケクソ」なすさんだ気持ちで観ると、何ともシンクロ&スウィングして、とても心地よい。だから今、この時代の「東映プログラムピクチャー」に嵌ってしまっているのかもしれないな(;^_^A