神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

「非情のライセンス」

 去る先月の「千葉真一映画祭」において、我らが“千葉チャン”から本題の『将軍家光の乱心 激突』の話題を超えて、懐かしのTVアクションドラマ『キーハンター』に於けるエピソードまで披露してもらった。海に転落する車から飛び降りるシーンや、爆発をかいくぐりながら疾走するシーン、そしてトンネルの出口から汽車の天井に飛び移るシーンに至るまで、当時の撮影現場のエピソードはとても興味深かった。

 思えば、当時TBS系で土曜9時に放映されていた『キーハンター』って、当時小学生低学年だった私たちの世代が、“大人の階段”を上るための貴重なドラマだったと思う。いくら翌日が日曜日だからといって、夜遅くまで起きている後ろめたさも相まって、“子供が観る大人のドラマ”って微妙なスタンスのドラマだったよ。でも翌週の小学校ではこの話題が持ちきりで、俗に言う「キーハンターごっこ」では、誰が千葉チャン役になるか、そうでなければ谷隼人役や川口宏役でお茶を濁すとか……登場人物よろしく、車の通っていない路上をジグザグに走って千葉チャンになり切ったりと、このドラマにみんな(特に男子)がどっぷり浸かっていたっけ(;^_^A 実は今となっては主題歌以外、ストーリーの殆どを記憶していないんだけど……(;^_^A

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 そんな『キーハンター』の主題歌こそ「非情のライセンス」。当時は平気で口ずさんでいたけど、今改めて歌詞を吟味すると、意外にかなりのハードボイルドな内容にハッとしてしまう。そんなハードさを当時感じなかったのは、年齢的に理解できなかったことと共に、この歌を歌っていた、主要登場人物の一人でもある野際陽子の淡々とした、悪く言えば“棒読み”のような歌いっぷりにあったと思う。

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 “キーハンター”の一員として、そのオープニングでも華麗な殺陣を披露する野際陽子は、当時で言えば立派な“アクションヒロイン”だったはずだ。それが、その後“角縁メガネに着物姿”がすっかり板についた、「インテリ」「口うるさいPTA会長」といったポジションばかりを演じるようになってしまった、その極めつけは、佐野史郎演じるマザコンの“冬彦さん”が賀来千香子をネチネチといじめ抜く『ずっとあたなが好きだった』に於ける冬彦の母親役だったと思う。そこにはもはや「キーハンター」でのアクションヒロインの姿はなかったけれど、それはそれで、役者としては大いなるスキルアップだったのではなかろうか……若輩者が語るのも口幅ったい話ではあるが………

 今回の野際陽子氏の訃報に際し、まず脳裏に浮かんだのはくだんの「非情のライセンス」だったんだけど、私事ながらかつての彼女の伴侶だった千葉真一御大とふれあったその年に彼女の訃報に遭遇したのも、何か運命的なものを感じてしまった………合掌




 りんとした美貌でテレビドラマを中心に活躍した女優の野際陽子(のぎわ・ようこ)さんが13日午前8時5分、肺腺がんのため東京都内の病院で死去した。81歳だった。富山県出身。葬儀は密葬で済ませた。

 NHKアナウンサーを経て1963年女優デビュー。68年から放送が始まったドラマ「キイハンター」で女性捜査員のヒロインを演じて人気を博し、主題歌「非情のライセンス」も歌った。同作で共演した俳優の千葉真一さん(78)と73年に結婚したが、後に離婚した。

 92年にドラマ「ずっとあなたが好きだった」で息子の「冬彦さん」を溺愛する母役を演じ、話題となった。

 NHK連続テレビ小説ゲゲゲの女房」、大河ドラマ新選組!」などの他、「必殺仕事人」「TRICK」シリーズをはじめ数々のドラマに出演。今春から放送されているテレビ朝日系ドラマ「やすらぎの郷」にもレギュラー出演していた。

 遺族によると、3年前にがんが見つかり、2度の手術を受けるなど闘病していた。先月上旬には肺炎を併発して入院していたという。(2017/06/16-00:15)