神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

志穂美悦子のストイックな魅力 『華麗なる追跡」

 思うところあって、『華麗なる追跡』を観賞。といっても正式なDVDではなく、「東映チャンネル」で録画して貰ったもの。だがら画質はそんなによくはないが、それでも楽しむには十分だ(といいつつ、正式なDVDもほしいヾ(ーー ))

 本作はまさに「志穂美悦子志穂美悦子による志穂美悦子のための映画」といっても過言ではない、極めてオーソドックスな復讐劇の中に、彼女の魅力を最大限に折り込んだ娯楽巨編だ。外連味を通り越して、馬鹿馬鹿しいまでにベタな鈴木則文監督の演出ぶりも完璧で、「バイオレンス」「エログロ」「ギャグ」といった、人間の“延髄に訴えかけてくる”原始的な娯楽を追求した、これこそ“エンターティメント”というべき作品である

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 ただ残念なことに、このタイトルで検索すると、松田優作が出演した同名のドラマの方に多くヒットしてしまう。こんなことなら、もっとベッタベタまタイトルにしてくれれば良かったのに(;^_^A

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 でもインディーズながら“広島発ヒロインアクションムービー”を制作してきた自分にとっては、バイブルのような作品だ。当時の東映ピンキーバイオレンスを意識してか、かなりえぐい性描写もある。ストリップシーンも強姦シーンもてんこ盛りだ。更に我らが悦っちゃんも、拉致されて吊されて過酷な拷問を受けたりする。

 しかし特筆すべきは、決して悦っちゃんは「性的対象」にならない、という点だ。このことは、「戦う女たち 日本映画の女性アクション」に掲載された「志穂美悦子 必殺・追跡・13階段」において四方田犬彦氏も言及しているが、かの池玲子が、杉本美樹が、サンドラ・ジュリアンが惜しげもなく裸体を披露していた時代、志穂美悦子だけはある種の“聖域”のように、エロスとは無関係のところで、ただただ己の拳法の腕を信じ、卑怯な敵を力任せに殲滅する、そんな究極の“清純派ヒロイン”を粛々と演じていた。それも実にストイックに……

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 劇中ラスト、天津敏演じる悪徳与党政治家・猪俣と宙づりのロープウェイで格闘するシーンはとにかく凄い! 命がほとばしってる。そんな映画を再び観たい、と切に願う。

 それでも大手が作ってくれなかったら……いよいよインディースムービーの出番なのかもしれないな(;^_^A