神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

全ては邦画のために……

 こんな記事を見つけた。

「日本映画のレベルが低くなったのはテレビ局のせい?」
http://d.hatena.ne.jp/type-r/touch/20160412

 この記事は、昨今の邦画がテレビ局製作のものばかりヒットし粗悪乱造されるため、そんな邦画を観た外国の映画評論家が邦画の劣化を危惧する、という論点からスタートし、その理由として、テレビサイドがわかりやすさや安直な感動を映画に求めていることの弊害を挙げ、筆者の「映画とは『観客に何かを考えさせるメディア』だ」という持論を展開して締めてある文章だった。


 中には“テレビ局映画”は安直な「口当たりの柔らかい作品」に映画の観客を慣らしてしまった”罪”があると主張する記者・白木緑氏のコメントや、“テレビ局映画”映画に似たものであって、本当の映画ではない、どんどん作り手が劣化し、観客も劣化していると断罪する映画界サイドの荒井晴彦監督の意見、それに対して邦画のジャンルの多様化とビジネスとして成立することが邦画界の活況に繋がると反論するフジテレビ・亀山プロデューサーの意見が引用されていた。

 この記事を、最初は私も「テレビ局映画けしからん」というスタンスで詠んだんだけれど、意外にも実際には亀山プロデューサーの弁が一番もっともらしいと感じるに至った(フジテレビ自体は大嫌いだけど……ヾ(--;))。むしろ荒井晴彦氏の弁の方が表面上もっともらしく見えるが、その実あまりにも映画制作者サイドの“上目線”が感じられて、どうかと思った。

 海外からの批判とはいえ、我々にとっての「日本映画のレベルが低くなった」とは、いったい誰の目線で論じられているのか、否、論じられるべきなのか……要は「映画って誰のためのものなのか」ってことだと思う。「単純明快で分かりやすく、テレビのスタッフでも撮れる映画」がいいのか、それとも「人生について深く考えさせられる、噛めば噛むほど味がある、映画人の撮る映画」がいいのか………実はそれって、観客が決めることだと思うし、その選択は一つだけではない。

 映画にはいろんなジャンルがあるわけだから、娯楽作品と芸術作品が共存するハリウッドのようになればいい。そのためにはまず映画産業がビジネスとして成立することが大切。どんなジャンルがヒットしようとも、それは邦画界全体が活気づく源になるはず。かいつまんでまとめると、それが亀山プロデューサーの言い分だ。もっともだと思う。

 今大切なのは、邦画の中でお互いが“内ゲバ”することではなく、全てが「邦画界の活況」に繋がると支え合うことではないか。別に「テレビ局映画」は従来の邦画を否定しているわけではない。逆に「『テレビ局映画』のファンは映画のファンではない」なんて線引きこそに問題がある。彼らが「映画ファンではない」といっている層が邦画界に金を落としてくれているからこそ、「邦高洋低」の今があるのではないか。もうそんな排他的な“けんか腰”はやめて、「その尻馬に乗って出し抜いてやるやる」位の気概を持ってほしい。別に「『テレビ局映画』以外は映画じゃない」っていわれてるわけじゃないんだから……


 尤もいくつかの「テレビ局映画」にはいろいろな問題を抱えているものがないわけだはないけど………今回はそれとは別次元での話ってことで………(;^_^A


PS……実はこの記事を準備していた最中に、以下のようなニュースが巷を席巻した。前述のようにフジテレビは大嫌いだし、亀山プロデューサーこと亀山(前)社長の迷走振りを鼻で笑ったりしていたが、今回の彼のテレビ局映画に関する考え方は正論だと思っていたので、いずれ他局でプロデューサー業にでも復帰して、いい映画を撮ってほしい。

フジ亀山社長退任「改革」実らず 長寿番組次々に終了 大規模な人事異動も
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170509-00000142-spnannex-ent
 フジテレビは9日、東京都内で役員会議を開き、亀山千広社長(60)の退任を決定した。後任にはBSフジ社長の宮内正喜氏(73)が就任する。

 年間視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、フジテレビは2004~10年と7年連続トップを維持していたが、11年に日本テレビに首位を奪われた。亀山社長は13年6月に就任。「あすなろ白書」「ロングバケーション」「ビーチボーイズ」など、数々のヒットドラマを手掛けたスタープロデューサーだけに、局内の期待もあった。

  14年4月改編で、31年半続いた「笑っていいとも!」が終了。15年4月改編で、17年続いた夕方の報道番組「FNNスーパーニュース」が終了。16年4月改編で、52年続いた東海テレビ制作の昼帯ドラマが終了。視聴率低迷からの脱却を図るため、次々に改革の手を打ったが、実らず。視聴率低下に歯止めはかからず、改善にはつながらなかった。

 午後帯の「昼ドラ→ドラマ再放送→スーパーニュース」という流れが断ち切られ、午後7時台の“入り”の視聴率が悪化。ゴールデンタイム、プライムタイムの停滞に拍車がかかった。

 14年6月には全社員(約1500人)の3分の2に当たる約1000人の人事異動を敢行したが、これも成功したとは言いがたかった。

 もっとも、亀山社長1人の責任にするのは簡単で、局全体の低迷期に重なったという見方もある。良くも悪くも定例社長会見は各局の中で最も注目を集め、発信力は随一だった。11年の年間視聴率で8年ぶりに「3冠」を日テレに明け渡した後“火中の栗”を拾った亀山社長だったが、結果は出なかった。新社長の手腕が注目される。