神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

闘う! 水原勇気

 昨年度の勢いそのままに、4月負けなしで破竹の連勝を続けてきた広島東洋カープも、昨晩遂に久々の黒星を喫し、連勝は10で止まった。なにぶん今までが出来過ぎだっただけに、“リバウンド”に注意して“化けの皮”が剥がれないよう気をつけて、今日からまだ頑張ってほしいね(;^_^A

 さて、そんな夜、思いがけずネットで『野球狂の詩』を観た。これは野球漫画の殿堂・水島新司氏が、月刊少年マガジンに連載した、架空のセリーグ球団「東京メッツ」の活躍と選手の人間模様を描いた傑作漫画だ。その『野球狂の詩』が「月刊」から「週刊少年マガジン」に連載が移行する際、その目玉として生み出した新機軸が、プロ野球初の女性選手・水原勇気だった。作品は水原の入団と、選手条件として「医学上男であること」と明記したプロ野球協約緩和への闘い、そして晴れてプロ野球選手となった勇気の活躍と挫折、その果てに魔球“ドリームボール”の誕生に至るまでを描いた、実に挑戦的な物語だった。当時は広島東洋カープが初優勝した翌年とあって、彼女の最初の師であり“ドリームボール”生みの親でもあった先輩キャッチャー・武藤のカープへのトレードに伴って、旧広島市民球場を舞台にした場面も多かった。

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このシーンも、背景は明らかに旧広島市民球場

 本作はアニメ化もされたが、今回観たのは実写映画版の方。「水原勇気篇」からファンになって原作の単行本を揃え始めた位だったので、当時は是非観たいと思っていたが、本作を制作したのが「にっかつ」時代の「日活」、つまり“ロマンポルノ”全盛の頃だったので、例え一般映画だとしても、ポルノ常打ち館へ入る勇気はなく……ていうか中学生時代、にっかつの映画館がどこにあるかなんて知るよしもなかったので、残念ながら見そびれてしまっていた。後に民放のTVで放映されたとき初めて観て、ビデオがなかった時代故、音声を全てカセットテープに録音して、何度も聴いたものだった。そして今は亡き「BS2」で放映されたときようやく録画、更に所用で東京へ行ったときに原宿の「ラフォーレ原宿」(これも今は亡き?)近くの中古ビデオショップでDVDをゲットすることが出来た。

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こういう“バトンタッチ”スチールって大好き!(;^_^A

 さて、今回興味深く観たのは、冒頭の原作にもある岩田鉄五郎の「10対53」の引退試合シーン(すぐに引退撤回!)と、クライマックスの対大阪アパッチ戦での水原勇気リリーフ登板のシーンだった。ここで目を見張ったのは、水原勇気役を務める木之内みどりの素晴らしすぎる可憐さだ。何とも可愛らしい顔を一生懸命しかめて、凜とした瞳を輝かせて、屈強の男たちに向かって球を投げ込むシーンは、改めて観てもかっこよくて仕方がなかった(;^_^A 

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 また相手の打者が力道玄馬(原作では阪神の選手)役の丹古母鬼馬二をはじめ、実に“悪役面"してるんで、まるでヒロイン・木之内みどりが悪投相手に闘っている「アクションヒロイン」のように見えて仕方がなかったよ(;^_^A そんな気分で最後まで観てしまった。「アンダースローのサウスボー」っていうプロでも難しいフォームを、見事に演じきっていたしなぁ……(;^_^A

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 作品自体は、上述の内容を僅か2時間程度の尺の中に押し込んでいるのでかなり展開が激しく、且つ続編へ含みを残すような"消化不良"的なもので、試合のシーンも余りリアル感がなかった。話は変わるが、坂本順治監督の『どついたるねん』が素晴らしかったのは、試合の映像を敢えてボクシング中継と同じ“引き"で数カット撮って、臨場感とリアル感を醸し出している点である。そこら辺りの配慮が、この実写映画版『野球狂の詩』には足りなかったかなぁ……

 そういえば、まさにはまり役といってもいい「岩田鉄五郎」の小池朝雄や、「五利監督」役の桑山正二、「メッツオーナー」の藤岡重慶、「尻間スカウト」役の谷啓をはじめ、相手大阪アパッチの監督役で出演した豊田泰光、ヘッドコーチ役の“ヒゲの”辻佳紀(「パンツマン!」)に至るまで、みんな既に鬼籍に入っているのは、何とも感慨深い。何といってももう40年も前の映画なんだから………そんな中で丹古母鬼馬二だけは当時も今も変わらぬ雄姿でいるのは“驚異”としか言いようがないね(;^_^A

 映画は大阪アパッチに辛勝したメッツの面々が、「この勢いで、広島に乗り込むで!」とばかり、新幹線(勿論0系)に乗って西に向かうところで終わりを迎える。70年代の邦画独特のざらついた映像が何とも懐かしく、またまた胸が熱くなってしまったよ(;^_^A

 ちなみに本原作は、月曜ドラマランドでもドラマ化されていて、主人公の水原勇気を演じたのは、「スケバン刑事」前夜の斉藤由貴。思えば、その当時はまだ『スケバン刑事』の主人公役に急遽抜擢される前だったかもしれない。まだまだ“お嬢さん”然とした表情で、健気に勇気になり切っていたなぁ。でも前出のように「水原勇気」さえ“闘うヒロイン”なんだったら、このドラマの主演で、彼女の後の役者人生は運命づけられていたのかなぁ……なんてね(;^_^A

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