神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

敢えて『シン・ゴジラ』に闘いを挑む

 今日3月22日、遂に『シン・ゴジラ』のDVDがリリースされた。待ちきれなかったので、今日は朝6時に近所のレンタルショップに駆け込んでDVDをゲット! その時点で既に在庫の3分の2がレンタルされていた。流石人気の『シン・ゴジラ』!!

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 てなわけで、かの衝撃の封切以来、およそ7ヶ月近くぶりに本作を再見したわけだけれど、さすがに公開時の熱狂ぶりも沈静化し、海外興行の苦戦もあって、そろそろ本作を意固地になって賞賛・批判する時期も過ぎたように思う。そこで、本作に対する十二分な愛情を持ちつつ、今回は敢えて“ここはどうなの『シン・ゴジラ』”という視点でアンチレビュー(?)を書いてみたい。

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敢えて「TOHO SCOPE」版ではなくこっちの旧東宝マークを使っている所に庵野監督の外連味を感じる(;^_^A

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この絶望感は、まさに『巨神兵東京に現わる」のノリに匹敵する!

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この第二形態には心底驚かされたけど、このシーンってかなりリアルで怖かったりする(;^_^A

 本作の魅力の一つでありながら、且つ問題点でもあるのは、冒頭に於ける閣僚の会議のシーンの余りもの多さが挙げられる。正直、庵野(樋口)演出でも「以下、中略」のお茶目なテロップが出るくらい、わかりにくいまどろっこしい奥歯に物の挟まったような答弁が延々繰り広げられる。勿論これで緊急時に於ける内閣の脆弱さを皮肉ったとの見解もあろうが、やはりくどい。しかもそこに、ほぼ全てのある程度の役職を持つ(そしてストーリー上殆ど意味を成さない)者の名前テロップがいちいち出てくるのも徐々に鬱陶しくなっていく。しかもその上に会議の内容、場所などが昨今のバラエティーの如く次々登場するのもどうかと思った。確かにここら辺が庵野演出の(おそらく『ヱヴァンゲリヲン』などで用いられたテクニックなのだと思うが)独特の外連味なんだろうけど、ちょっとついて行けなくなったな。確か『ゴジラ』(1984)の時、テロップの多様に、「TVじゃないんだから、映画ならもっと字の説明ではなく画で物語を描かないと」との指摘があったと思うけど………で、実は今回、前から観賞を期待していた小学生の娘と一緒に見たのだけれど、最初の尻尾の登場から第二形態が蒲田に上陸するまでと、一度東京湾に沈んだゴジラが鎌倉に再上陸するまでの間の会議のシーンの長さテロップの限りなき多さに、早送りを求めてきたくらいだ。これに関しては、かつてベネディクトプロのサパーシュタインが指摘した、日本独特の、そして海外では受け入れにくい演出の一つだったりする。

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 また、リアルな“怪獣災害映画”の様相を呈していながら、主人公の矢口内閣官房副長官の“後の総理”ならともかく、米国大統領特使のカヨコ・アン・パタースンが後の大統領候補ってのは、あまりにも非現実的な設定だった。彼女は祖母が日本人のクォーターという生い立ちを持っているとのことだが、それならば日本女優の石原さとみではあまりにも東洋人で、どうも説得力に欠ける。例えば広島東洋カープで2016年度澤村賞に輝いたクリス・ジョンソン投手も祖母が日本人のクォーターだが、ご存知のようにとても日本人的な顔立ちではない。さらに百歩譲ってその設定が正しいとしても、いくらオヤジが政界の黒幕だろうがあんなに東洋人(黄色人種)な顔立ちで、しかも女性の彼女があの保守的なアメリカで大統領にいずれなる器と紹介されるのもあまピンとこない。おそらくこの作品が公開される前後は、次期米大統領にはヒラリー・クリントンが優勢との時流があったのも影響したのかもしれないけど、結局今は“アメリカの悪夢”でトランプが核兵器のボタンを最低4年も持ち続けることになってしまった……。そう言えば、劇中アメリカの首脳が、今回の使用で核が抑止力にならなくなることを懸念し、核ミサイル攻撃を実は躊躇している、というシーンがあるが、ここら辺はオバマ大統領の穏健な政策時代の残滓な設定なんだろうな……トランプなら、自国の利益最優先で、問答無用でぶち込みそうだ……ヾ(ーー )

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 ここら辺は、アニメの世界なら大目にみられても、実写で生身の人間に演じさせると俄然説得力を失ってしまう設定なのかもしれない。そういえば、ラスト、硬直したゴジラの尻尾のUPのカットで、その先端に巨神兵と思しき姿が何体も見て取れる、ってのは、これまたアニメの世界ではありの“遊び”かもしれないけど、改めて気付いて、逆にしらけてしまったな……

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 それと、内閣の総理大臣といい官房長官といい、どうも現政権の閣僚とダブって見えてしまい、何とも気分が悪かった。防衛大臣役の余貴美子なんて(本人が狙ってメイクしたのだろうが)元防衛大臣小池百合子に“似すぎ”だったよ。だから、都心にやってきたゴジラの怒りの放射能熱戦で彼ら内閣一味の乗ったヘリが撃墜されるシーンが一番胸がすく場面だったかなヾ(ーー )。もし『ゴジラ』一作目が封切られた1954年当時なら、このシーンは観客の拍手喝采だったろう(;^_^A  実際国会議事堂が破壊されるシーンでは当時場内に歓声が上がったそうだし(;^_^A

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これが問題の、「内閣“地獄”へ総辞職」のシーン!ヾ(ーー )

 思えば、本作は、まさに“ニッポニア・ニッポン”と言おうか、例えるならば「『プロジェクトX』を観て団塊の世代のオヤジたちが涙する」ような作品だったと改めて感じる。確かにニッポン万歳! ニッポンはまだまだ捨てたモンじゃないぞ! 頑張ろうニッポン! って雰囲気が意外にも充ち満ちているけど、反面気をつけないと、庶民ではなく政治家の立場で描かれているだけに、為政者のプロパガンダ映画に都合よくすり替えられかねない危険性を孕んでいる。それ故、海外では、欧米はおろかアジアの国にもあまり受け入れられない(特に中朝韓露等々)作品になってしまったのだろう。そんな“内向き”の内容を今後どうしていくのか……もっと内に篭もるか、それとも思い切って単純明快なエンターティメントに向かっていくか……

 正直どちらでもありだと思うけどね………

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このヤシオリ作戦“新幹線爆弾攻撃”のシーンはやっぱり燃える(萌える)! 背景に流れる
      「宇宙大戦争マーチも」実にGOOD!(;^_^A