神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

ハーレークインの『スーサイド・スクワッド』

 『スーサイド・スクワッド』を観賞。動機は勿論、“ハーレークイン”(マーゴット・ロビー)のヒロイン然としたビジュアルに寄るところが大きかったが、実際観てみると、ハチャメチャな“ド不良SFムービー”だったよ(;^_^A

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 くだんのハーレークイン嬢をはじめ、本来“ヒーロー・ヒロイン”であるべきキャラはみんな極悪犯罪者。中には暗殺者でありながら娘を溺愛するデッドショット(ウィル・スミス)、火炎を自由に操れるミュータントながら気の迷いで妻子を焼き殺し苦悩するエル・ディアブロ(ジェイ・ヘルナンデス)のような“同情の余地”のあるキャラも登場するが、基本死んでも仕方がないような犯罪者ばかり。でも彼らを「死んでも当然」と“エクスペンダブルズ”宜しく使い捨て集団として利用するアメリカ政府の女性高官ウォーラー(ヴィオラ・デイヴィス)が、むしろ一番の非常な悪役に見えてしまう。そんな彼女にいいように使い捨てられるこのメンバーを、デッドショットが自虐的に命名したのが“スーサイド・スクワッド”(=自殺部隊)という訳だ。

 ドラマは、首にナノ爆弾を埋め込まれて服従せざるを得ない彼ら“スーサイド・スクワッド”の面々が、アメリカの都市“ミッドウィイ・シティー”に現れた魔女・エンチャントレス(カーラ・デルヴィーニ)とその弟による大量破壊(やがては人類殲滅)の危機を阻止すべく、最後は自らの意思で戦うっていう展開になっていくのだが、それそれのキャラの持ち前の能力が遺憾なく発揮され、一応のハッピーエンドを迎えることとなる。

 ところで、これはかの『トランスフォーマー』辺りから顕在になってくるんだけれど、ストーリー展開も特殊効果の映像も、あまりにゴチャゴチャしすぎて、なかなかドラマに入り込めなかった。映像に関しては、CG技術の進歩が悪い方に働いているような気がする。特に魔女軍団が人間を改造して生み出す黒づくめの戦士の登場シーンは、次から次へと現れすぎて、ドラマの流れさえ停滞させてしまう。勿論主人公に見得を切らせるような展開にもならない。これが」観ていてもぞかしい。

 また、魔女の本の姿の女性博士と“スーサイド・スクワッド”のお目付役である兵士との悲恋も、どうもストーリーが進む上での障壁にしかならない。もっと善悪ハッキリつけて、ただひたすらこのメンバーが魔女軍団を殲滅するような物語を期待していたのに……スッキリしなかったな……

 そういえば、本作はDCコミックが原作なだけあって、バットマンの世界観と共有しているところが面白かった(冒頭バットマンも登場するし)。またバットマンの世界で暗躍するアンチヒーロー“ジョーカー”もしっかりドラマに絡み、しかもハーテークインの情夫って設定も面白かった。最後の最後まで活躍するし……(;^_^A

 それしにしても本作は、馬鹿馬鹿しいくらいご都合主義の“ハッピーエンド”を迎えるんだけれど、それならばメンバー全員、事件解決後は気持ちよく無罪放免、特赦で釈放って設定にしてほしかったな。再収監前、最愛の娘とのつかの間の時間を過ごすデッドショットがあまりにも可哀相だったもの……

 アメリカンニューシネマの時代を経て、ハリウッド映画はもっともっと“勧善懲悪”“予定調和”な抜けのいいエンターティメント路線を突き進んでいたと思っていたのに……まさか日本映画の悪しき習慣を踏襲してるんじゃないよね……?ヾ(ーー )