神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『ロボジー』 “外連味”溢れる逸品!

 リストラの危機に怯える家電メーカーの3人組が、全く畑違いの歩行ロボット開発を社から厳命され、何とか制作したものの、不慮の事故で発表1週間前にロボットは大破。しかも同時に貴重な開発データを納めた唯一のPCも落下・大破し再生は不可能。そこで、仕方なく彼らは同じロボットの着ぐるみをこしらえ、その寸法にあった老人・鈴木重光に中に入ってもらうことで、発表(ロボット博覧会)を乗り切ろうとする……

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 そんな映画、『ロボジー』を観賞。実はこの映画、老人が着ぐるみでロボットを演じるというあまりにも現実離れした展開(皆が信じるなんてあり得ない!)や、老人が主人公故どこか疎外感や悲哀を描く湿っぽい映画だろうとの憶測から、どうも食指が動かない映画だった。しかし主人公の爺さんは意外にあっけらかんとしているし、悲哀と言うよりはなかなか出来のいいコメディに仕上がっていた。その要因として、あのいかにもバタ臭い顔のミッキー・カーチスをこの老人役に抜擢したキャスティングの妙があると思う。どこにでもいる頑固な爺さんを演じていながら、あのハーフな顔立ちは、着ぐるみロボットを演じても意外に違和感がない。流石28年前にロボット特撮『ガンヘッド』でバンチョーを演じたキャリアは伊達じゃなかったな(;^_^A

 物語も殊の外テンポ良く、逆に他の矢口史靖監督作品から比べれは伏線も少なくあっさりしたテイストだった。ただ、ロボット「ニュー潮風」の開発者たちが冷や冷やする以上に、ロボットを着た老人・鈴木の“ロボット離れ”した動きは半端なく、観ているこっちの方が冷や冷やを通り超してすっかり呆れてしまった。ストーリーが展開する中で正体がばれそうなトラップはいっぱい張ってあるのに……

 そこで思ったのは、この映画こそ、まさに映画のそしてドラマの“外連味”を十分に意識した作品なんだと言うこと。よくある「何故主人公は全てに気付いていたのか?「何故犯行現場にいきなり主人公が登場するのか?」「何故多羅尾伴内(藤村大造)の見え見えの変装を皆が見抜けないのか?」等々の“お約束”“予定調和”な展開が、この映画には充ち満ちている。そのくせロボットオタクのヒロイン・葉子(吉高由里子……以外考えられないキャスティング!!)にはあっさり正体がばれてしまうのもイイ意味で拍子抜けしてしまう(;^_^A クライマックスのケリの付け方も、本作では唯一といっていい伏線ながらあまりにも“予定調和”すぎるオチが用意されていて、そこら辺は実に“乱暴”だ……でも、だからこそ愛くるしい作品に仕上がっている(;^_^A

 やっぱり矢口監督、“これこそ映画のドラマの世界観なんだよ”という作品を他の監督作品同様きちんと創り上げてくれた、そんな映画だったよ(^^)

 ところで矢口監督の映画では、必ず主人公が「鈴木」って姓らしいんだけど、もしかして彼も「鈴木則文」御大のファン?(;^_^A