神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

広島で“特撮”を撮って!

 ジョージ・ロメロによる“モダンゾンビ”が登場するまでは、私にとって一番怖いのは「ドラキュラ」でも「狼男」でも「ミイラ」でも「ブードゥーゾンビ」でもなく、何といっても「フランケンシュタイン」だった。それはおそらく小1の時にTVでハマー版フランケンを観たことがきっかけだったと思う(翌週は同じ時間枠で「ドラキュラ」だったが、親が観させてくれず……)。以後、ユニバーサルのボリス・カーロフ版を観たわけでもないのに、あの角張った精気のない顔にぶっとい電極、そして寸胴な容姿がなぜかトラウマになってしまった。勿論藤子A先生の「怪物くん」に登場する“フンガー”フランケンの存在はして知っていたが、この頃からそれさえ恐怖し始めたような気がする。

 そんな中、自宅にあった東宝特撮映画『怪獣総進撃』のパンフを読み直した際、バラゴンの紹介記事に「『フランケンシュタイン対地形怪獣』でデビュー」と記載されていてぶっ飛んでしまった。「ええ、怪獣がフランケンと戦う映画?」「そんな大きなフランケンが出たの?!」とまたまた震え上がってしまった。

 翌年父親の転勤で、島根県から広島の地に引っ越した際、新しい友人たちから、前年件の『フランケンシュタイン対地底怪獣』をTVで観たと聞かされた。生憎ネットの関係で島根では放映されていなかったので観ることは叶わなかったらしいが、友人から「フランケンの手がもげて、それでも動いて……」なんて聞かされると、妄想は更に募った。「怖い……でも観てみたい……」って感じで。

 それから十数年……世の中にはビデオなるものが氾濫し、ようやくレンタルビデオで『フランケンシュタイン対地底怪獣』を観賞する機会に恵まれた(何故か続編の『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』は学生時代既に観賞していた)。殆ど知識なく観たんだけれど、それまで勝手に夢想していた“全身着ぐるみで緑色をしていて角張って”(今思うと、これじゃまんま“ハルク”じゃん(;^_^A)というイメージのフランケンは、実際は茶色っぽくて、着ぐるみではなく特殊メイクで描かれた“人間キャラ”だった。どうももともと「フランケン似」と評判だった素人の古畑弘二氏が、かの“百条委員会”石原慎太郎に見出され、この作品に出演することになったらしい(慎太郎の人生に於ける“功”はこれだけだと思う)。正直全くイメージとは異なっていた。でも結構気味悪かった……

 そしてそれよりも、本作が広島を舞台にしていることに衝撃を受けた。劇中登場する「広島国際放射線医学研究所」は、広島赤十字っぽいが、遠景は明らかに広島大学病院(ここ数年でロケの場所が改築されてしまったのは残念……)だし、戦後15年の生々しい広島市街地の風景画の映像として残っている(改修前のアーチ部分の鉄骨が黒い原爆ドームも)。

イメージ 2

イメージ 3

 思えば不謹慎ながら「原爆の惨禍に見舞われ、大量の放射能を浴びた」広島は、「放射能」が怪獣存在のキーワードになっていた東宝をはじめとする日本怪獣の恰好の動議付け都市のはずなのに、敢えて外したのか、広島に登場する怪獣は、この“東宝フランケン”以外には、第二の都市・福山に出現する「ウルトラマンA」第一話の超獣ベロクロン、太田川放水路沿いに原爆ドームを掠めながら北向きに飛来する『ゴジラvsキングギドラ』のキングギドラ、と数えるほどしかない。これは「ウルトラマンA」のメインライターにしてクリスチャンの市川新一氏が、「平和の象徴を邪悪な者が破壊する」というメッセージを伝えるために、敢えて第一話のベロクロンに広島・原爆ドームを破壊させ、撮影も済ましたものの、件の「スペル星人」の騒動で被団協との関係に敏感になっていた円谷が、トラブルを恐れて福山のロケに切り替えたことに端を発しているのかもしれない。要は「怪獣特撮に広島はタブー」という考え方だ。

イメージ 1

 でも実際に広島に暮らす者にとっては、この広島の地が豪快に破壊される映画。ドラマも観てみたいと思う。実際、私が映画撮っていることを知っている特撮好きの元同僚から「西広島バイパス入り口付近で夕景をバックにグドンツインテールが暴れる映像を是非!」とオファー尾を受けたこともある(;^_^A さすがにこれは叶わないものの、昨今の怪獣映画やウルトラの新作の一エピソードでもいいので、是非広島ロケ作品を撮ってほしい。最近の広島は高層ビルも林立してきたから、きっと“壊し甲斐”もあると思うよ。

 また技術が向上すれば、私自身の手でも取ってみたいな(;^_^A