神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

単館映画館の醍醐味よ何処へ……

 シネコンのある大型スーパーに行くと、決まってシネコンにチラシを貰いに行くようにしている。あの映画館独特の雰囲気、キャラメルポップコーンの匂い、上映会場に至るまでのただっぴろいロビーに、、人気作品目当てで並ぶ長蛇の列。響き渡る上映告知のアナウンス。そして大きな人の流れ……別に今から映画を観るわけではなくても、あの雰囲気に触れると気分が高揚する。「映画っていいな」って心から思う。

 ただそれは最近になって“身につけた”高揚感であって、本音を言えば、最近のシネコンには一抹の“物足りなさ”を感じてはいる。それは本当に素直な気持ちとして高揚感が沸かない点だ。これは広島に限ったことかもしれないが、市内の大手シネコンは「東宝シネマズ緑井」にしても「広島バルト11」にしても「109シネマズ」にしても「ワーナーマイカル」にしても、どれも複合スーパーの中に位置している。だから最初はスーパーの門を潜って、その先にエレベーターやエスカレーターを使ってシネコンにたどり着く。しかも広いロビーからもぎりをしてもらってからとぼとぼとお目当ての上映会場(まさに“館”ではなく“会場"なんですよ!)まで向かう、というプロセスを経て映画鑑賞となる。

 そんな広島も、かつて「広島東映」「東映パラス」「宝塚会館」「広島リッツ」「OS東劇」「広島スカラ座」が健在の頃は、映画館の入り口前に立ち、巨大な立て看を見上げ、入り口手前でチケットを購入し、扉を開けたらもうそこは映画館然とした空間。結構狭くてもう目の前には劇場の扉がある(「広島東宝」「東映パラス」「広島スカラ座」はその先にまだ階段があったけど……)。そしてエレベーターを使って会場に向かう「松竹東洋座」「広島名画座」「朝日会館」も、その入り口にはきちんと手書きの巨大な立て看板が、観客の気分を高揚させるのに十分なアイテムとして存在していた。あの真の高揚感が、今は広島の地ではすっかり失われてしまった。

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 そんな中、きっと今広島で古き良き映画館の面影を唯一残してくれているのが「横川シネマ!!」だと思うが、ここも個人的ながら最近こちら逆にが興行を打たせてもらう機会もあったので、純粋に観客の立場になることも出来なかったりする。

 あの古き良き、「ああこれから映画を観るんだ!」というえもいわれぬ思いに包まれ、映画を観る行為自体が一種のイベントのようで、しかも今よりうんと映画館に足繁く通っていた時代の楽しさを、またどこかで味わえれば、なんて思ってるんだけど……その点、未だに名画座が多く残っている、関東・関西の方々を心から羨ましく思ったりする。もっともそんな関東・関西でも日に日に単館映画館が失われているんだろうけど……

 フイルムも使わないシネコン機械的にデジタルに映画を放送している……そう思うとちょっと寂しい……