神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

「広島」ゆかりのギラッギラッ!

 広島ヤクザの抗争を描いた『仁義なき戦い』の空前のヒットにより花開いた70年代の“東映実録路線”だが、その中で「広島」とストレートに謳ったタイトルの作品は意外にも『広島仁義・人質奪回作戦』と『脱獄広島殺人囚』の2本しかない。そしてその2本で主演を務めたのが、松方弘樹、その人である。

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 私が物心ついてからこの俳優を最初に意識したのは、角川映画第3弾『野生の証明』で主人公の高倉健を執拗に追い回す陸自の元上官役を演じたときだ。当時は仁科亜季子との不倫騒動が原因でしばらく芸能界をホサれていた頃に舞い込んだ抜擢だったが、当時のスキャンダル報道をリアルタイムで観てきただけに、どことなくダーティーなイメージの沸く役者だった。

 それが、おそらくイメチェンを図ろうとして出演したのであろう「たけしの元気が出るTV」で、過去の強面名なキャラを払拭すべく、陽気で涙もろい(これは笑いすぎて、ということ)気のいいオジサンを聞きとして演じていたのには驚いた。やたら眉毛をハンカチで挙げる仕草が印象に残っている。

 そして……この後いよいよ70年代の東映作品で過去の彼の演技を見ることになるんだけれど……かつて『野生の証明』で感じたダーティーさ・強面どころではなく、東映実録路線作品での松方弘樹御大はまさに“狂犬”。いつもギラギラした厳つい目でいつもにやにや笑っていて、突如思いもよらない無軌道な行動で周りの者の度肝を抜く。中でも『北陸代理戦争』における川田役のアナーキーさは、彼の演技の中でもマイフェイバリットといえるものだった。

 これだけ豪快な生き様を魅せれば、74才の年齢はある種“大往生”といっていいのかもしれないけれど、私にとっては前出の『広島仁義・人質奪回作戦』『脱獄広島殺人囚』や『仁義なき戦い』の出演で、どこか『広島ゆかりの名優」というイメージがあったので、この逝去はあまりにも惜しい、との思いでいっぱいである。ついこの間『暴動島根刑務所』を観たばかりだってのに……

 ここに来て、健さんを始め、文太兄ぃ、キンキン、新吾(山城)、安藤(昇)と、往年の東映アクションを支えてきた名優が次々と鬼籍に入っていく中、ついに松方弘樹も旅立っていったのか、と思うと言葉もない……合掌


松方弘樹さん死去 74歳 脳リンパ腫、「仁義なき戦い」「柳生一族の陰謀

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 俳優の松方弘樹(まつかた・ひろき、本名目黒浩樹=めぐろ・こうじゅ)さんが21日、脳リンパ腫のため死去した。74歳だった。東京都出身。昨年2月に体調不良を訴えて入院していた。東映の時代劇ややくざ映画を中心に活躍したスター俳優だった。

 趣味の釣りで300キロ以上の巨大マグロを釣り上げるなど豪快なイメージで知られた松方さんだが、病魔には勝てなかった。回復を願ったファンや関係者の祈りも通じなかった。

 所属する「夢グループ」が松方さんに脳腫瘍の可能性があることを報道各社に明かしたのは昨年2月23日。長期療養が必要となるため、出演予定だった同3月1日から6月8日までの「夢コンサート」を降板し、6月からの舞台「遠山の金さんと女ねずみ」を中止すると発表。その後、病名を「脳リンパ腫」と公表していた。懸命な闘病が続いたが、抗がん剤投与の治療中にたびたび脳梗塞を起こし、今年に入って一進一退の状況を続けた。

 松方さんは時代劇スター近衛十四郎さんと女優の水川八重子さんの間に長男として誕生。俳優の目黒祐樹(69)は弟だ。歌手志望だったが、明大中野高3年の1960年に東映入りし、同年「十七歳の逆襲・暴力をぶっ潰せ」でいきなりの主演デビュー。その後、スターへの階段を駆け上がり、「昭和残侠伝」シリーズといった任侠映画から「仁義なき戦い」シリーズなどの実録路線、さらに「柳生一族の陰謀」を初めとする大型時代劇で活躍した。その一方、日本テレビ系「天才・たけしの元気が出るテレビ」の笑い上戸キャラで人気を呼び、多くのバラエティー番組でも異彩を放った。

 元妻の女優仁科亜季子(63)との間に、タレントの仁科克基(34)と仁科仁美(32)をもうけた