神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

これでいいのか、リメイク路線?

 過日、実写版『天才バカボン2』を観た。芸人のオカリナがバカボンくりーむしちゅーの上田がバカボンのパパを演じ、“似せ”具合では結構いい線行ってたのかもしれないけど、如何せん“初代アニメ”の「天才バカボン」を愛する者としては、どうもしっくり来なかった。やはり、あの漫画の持つスラップスティック性は、例え“稀代のスラップスティック監督”岡本喜八御大がメガホンを取ったとしても、実写で生身の人間に演じさせたら決して描ききれないくらい猛烈なパワーを有しているからだ。「ど根性ガエル」や「妖怪人間ベム」と比較しても、本作は「トイレット博士」と並び“実写化してはならないアニメ”だったと確信する。ちなみにアニメの方も初代から『元祖天才バカボン』『平成天才バカボン』と断続的ながら連綿と続くシリーズなんだけど、やはり以後の作品は初代のパワーにはとても叶わなかった、と思っている。

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 昨今この手のリメイクが後を絶たない。そこでお代に上がるのはどれも我々“オヤジ世代”が幼少期や若い時分に観た記憶のある番組や映画ばかりなので、それなりに嬉しかったりするが、その多くは(『電人ザボーガー』など一部を除き)素直にリメイクしてくれていない。やたら難しくこねくり回している感がある。本当は素直にリメイクして当時を懐かしく思い起こさせてほしいのに……これはひとえに、我々の世代より若い層を当て込んでいるからだと思うけど、よく考えてみれば『科学忍者隊ガッチャマン』と聞いて琴線に触れる20~30大の若者ってどれだけいるんだろうか? もしそんな層に「うわ、今まで知らなかったけど、結構おもろいジャン」なんて思わせて取り込みたいんだったら、完コピじゃなくちゃダメだって! 下手に現代に媚びる演出をしたらわざわざリメイクする意味がないって! まだ当時の作品をリバイバル上映・放映する方がよっぽど観客動員も視聴率獲得も叶うってもんだ。ちょっと極端なたとえかもしれないけど……(;^_^A

 日本で石原さとみ使って『赤い疑惑』をリメイクするより、そんなドラマを望む層はすっかり“韓流ドラマ”に逃げちゃってるよ。日本のB級アクションに飢えた層は、一時香港映画にハマってたりした。

 世界で大儲けしたいっていろいろ仕掛けても、今年度の邦画で世界に通用しそうなのは『シン・ゴジラ』ぐらいじゃないの? でも『シン・ゴジラ』とて、日本人好みの内閣の会議シーンもハリウッドの市場から言えば「話し合いが長すぎる」と一刀両断されるかもしれない。だってかつて東宝の怪獣映画に制作から参加した米・ベネディクトプロの意向で『怪獣大戦争』はいきなりP1号の宇宙航行シーンから、『フランケンシュタイン対地底怪獣』はいきなり戦火のベルリン郊外から、『サンダ対ガイラ』はいきなり大ダコに襲われる船員のシーンから始まるようになったんだもの。だから『シン・ゴジラ』のある種のまどろっこしさが欧米の観客に受け入れられるか甚だ心配ではある。

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 ただこうやって書いた結論は、だから別に海外市場を目指して媚びるのではなく、この日本の1億数千万人を確実に劇場に誘うよう、それに特化した作品作りの方を目指したらどうか、って考えだ。だって『シン・ゴジラ』は80億、『君の名は』に至っては100億以上をこの日本国内で稼ぎ出したじゃない。こんだけ儲けりゃ十分だよ。これだけ日本人は映画を観てくれるんだよ。もっともっと今この島国に住んでいる者たちのために、喜ばせる映画をどんどん世に送り出してほしい。その為にも、もっと素直に、俗に、外連味たっぷりの映画がどんどん登場することを祈念してやまない。

 映画は観てもらってナンボのもの。もっともっと観客の側に近づいていかないと………