神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

ジョン・ウェインの………?

 「雑色系映画人」宣言をして最初の映画鑑賞が、何とジョン・ウェインのモノクロ西部劇?!だった(;^_^A

 でもヒロイン“アクション”好きのくせに、どこが“雑食"? と思うなかれ。このジョン・ウェインという俳優、ガチガチの「アメリカ万歳」の国粋主義者で、かのベトナム戦争でさえ美化するために自らが制作兼主役を務め、『大蜥蜴の怪』しかキャリアのないレイ・ケロッグに"西から日が昇る"描写が有名な戦争映画『グリーンベレー』を撮らせながら(実は本作、若い頃ノーイデオロギーで「月曜ロードショー」で観賞したときにはちょっぴり感動した(;^_^A)、その愛するアメリカ・ネバダの核実験場近くで頻繁にロケを続けたため、自国の核開発の犠牲で共演者と共に若くしてガンで身を滅ぼした皮肉の大俳優だ。そんなわけでどうしてもジョン・ウェインの生き様に納得できない身としては、彼の脳天気な西部劇にはうしても食指が動かなかった。

 そんなジョン・ウェインの作品ながら、旅先のCATVで深夜に放映しているのをたまたま観てしまったから仕方がない。もっとも途中からの観賞だからストーリーをしっかり把握できないままでしか書けないのだが、観た部分のストーリーはこんな感じ………

 先住民の騎馬隊の追い詰められた民間人の幌馬車。精一杯の抵抗を試みるも、多勢に無勢で勝ち目がない。そこへ登場するジョン・ウェイン率いる騎兵隊。彼らにあっという間に一蹴される先住民たちだが、行きがけの駄賃とばかりに一行の子供たちをまとめてさらっていった。困惑するウェイン隊長。そこへかつての脱走兵が舞い戻り、自分に数名信頼できる仲間をつけてくれたら子供たちを奪還するという。かくして“元”脱走兵を含めた先遣隊が先住民の集落に潜入し、教会に拉致された子供たちを発見。時同じくしてウェイン隊の騎兵隊が雪崩を打って襲撃をかけ、ウェイン隊長は先住民隊の矢を右胸に受けるも(ここが大事! 右胸だから彼は最後まで生き残る!!)、敵を撃退し、隊に所属する息子の母でもある妻と再会を果たす……そんな物語だった。

 ここでは白人=侵略者という歴史的事実は無視され、ただただ先住民・インディアンは凶悪で、騎兵隊は正義の使者、という『ソルジャー・ブルー』以前の西部劇世界が描かれているが、注目したいのは、そんなイデオロギーさえ考えさせない、全く以て単純な勧善懲悪、人権無視の勇ましいまでの“敵を撃ち殺す”描写が延々と無秩序に垂れ流される、まさに「何も残らない爽快な」作品に仕上がっている。これもベトナムの敗北を体験する前の脳天気なハリウッド映画だ。悔しいかな、そこに惹かれてしまったよヾ(ーー )

 それにしてもこの映画のタイトル、何だったんだろうか? 観ているときはてっきりジョン・フォードの『駅馬車』だと思っていたけど、ストーリーを確認すると違うみたいだし……

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 ちなみに今回掲載したひげ面のジョン・ウェインの隊長が登場する話なんだけど………CATVでの放映は2017年1月3日の午前1時~3時頃だったと思う。

※写真は『黄色いリボン』