神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

バーバラ! バーバラ!

 「バーバラ」といっても、料理評論家の「バーバラ寺岡」ではない “昭和50年代”のハリウッドSFアクションムービー界を席巻した「カレラ」と「バック」の“ダブルバーバラ”のことである
 
 この二人、名前以外にも共通点が多い。共にボンドガール(しかも主役級)、共に『ドクター○○の島』主演、そして何より、美形と言うほどではない容姿ながら官能度は抜群で、エキゾチックな魅力を満載した女優である、と言う点だ。もっともボンドガールという点では、亜流ともいえる『ネバーセイネバーアゲイン』主演のカレラより、正規シリーズの『私を愛したスパイ』のヒロイン役で軍配が上がるバックが、“島もの”では明らかに亜流の『ドクターモリスの島』の方に出演している、というのは面白い そこで今回は、先の「カレラ」に続き「バック」について……
 
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 まず彼女の存在を初めて認識したのは、前出の『私を愛したスパイ』。前作の『黄金銃を持つ男』辺りからリアルタイムで007シリーズに触れてきた身にとって、この作品は結構思い入れが強い。当時は「TVはショーン・コネリー、劇場ではロジャー・ムーア」と意識化で妙な色分けがなされていたが、「いかにも白人」といった風体のロジャー・ムーアが、潜水艦にもなるロータスエスプリを乗り回し、鋼鉄のはを持つ巨人・ジョーズリチャード・キール)の登場や、タンカーが二つに割れて中なら快速船が登場するなど、荒唐無稽な世界観が、当時はやけに「007的だな」なんて感じられて、劇場での鑑賞は叶わなかったものの、TVの特番や雑誌は欠かさず観ていたような気がする。
 
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 そんな中で、件のバック嬢は、ソ連(ここら辺が古いですな)の女スパイ“アニヤ・アマソワ”(コードネームはXX=ダブルエックス!)を演じ、劇中、ボンドに接近するも、最愛の彼氏(それも諜報員)がボンドに殺害された事実(冒頭にそんなシーンがある)を知ると、使命と感情に翻弄されながら、それでも東西両陣営を巻き込んだスペクター(だったと思う)の陰謀に立ち向かっていく、といったストーリーだったと思う。その劇中、バック嬢は水着とも見紛うような露出度の高い衣裳を身に纏い、ボンドに関わっていく。
 
 ところで、個人的に劇中一番のお気に入りは、夜行特急に個室で、下着姿のアニヤが、洋服ダンスに忍び込んでいたジョーズに襲われるシーンだ。油断しきって無防備のアニヤがボンドとの逢瀬のために着替えようとタンスを開けた瞬間、まさに何の伏線も前触れもなく唐突にジョーズが登場。下着姿の丸腰でアニヤは果敢に戦うものの腕力でジョーズにかなうはずもなく、すぐに組み伏せられ、哀れ喉笛をその鋼鉄の歯で食いちぎられようとした瞬間、異変を感じて飛び込んできたボンドに、ジョーズは車窓の外にけり出されてしまう……そんなシーンだった。僅か1分足らずのシーンではあったが、バック嬢の官能さも相まって、ハラハラドキドキの良質の“ヒロピン”を堪能できたと思ったね その後、家にビデオ(VTR)が入って初めてこの『私を愛したスパイ』が放映されたとき、ビデオ録画を予約し、ワクワクして再生したところ、その肝心のシーンがその回の放映ではカットされていて、大いにショックを感じたこともあったな
 
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 そしてもう一本、『ドクターモリスの島』。『フイッシュマン』というもう一つのサブタイトルを持つ、マカロニ感あふれる作品だ
 
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 『ドクターモローの島』での「動物を人間化する(または人間を動物化する)」設定を、「人間を半漁人化する」設定に改めただけの亜流作品で、その目的も、半漁人をこしらえて海底深く眠るアトランティスの財宝を引き揚げさせる、という、効率的なのか非効率なのかいまいち判らない、結構下世話な目的がストーリーの柱となる作品だ。実は本作品、今は亡き「広島リッツ劇場」で観賞したのだが、如何せん目当てが同時上映の『ジャンク 死と惨劇』だったんで、今では余り印象に残っていない。確か、主人公が半漁人になる過程のおぞましい人間を発見し、それが漂流した船員仲間と知って驚愕するシーンや、当の本人が巨大な水槽に閉じこめられ、流れ込み水と格闘しながら決死の脱出劇を図るシーンくらいしか覚えていない。よって肝心のバック嬢がどんな活躍を魅せてくれたのか定かでないのが、今となっては悔やまれる。尤も、最初に本作が同時上映と知ったときには、正直ラッキー! って思ったけどね
 
 上記の作品以外にも『恐怖のいけにえ』や『タランチュラ』など、猟奇・ホラー系の作品に出演していたり、『おかしなおかしな石器人』では、モーションアニメの恐竜と“競演”したりと、すっかり“こっち側”の女優だといえるが、しっかり共演者であった“恐竜”ならぬ“甲虫(ビートルズ)”のリンゴ・スターと結婚、今も妻に収まっているとは、恐れ入るなぁ
 
 ちなみに彼女は1947年生まれ。何と「バーバラ寺岡」と2つしか違わないんだなぁ……