神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

実写版セーラームーン再考

 今更ながら、実写版の『美少女戦士セーラームーンって、最強の“ヒロインアクション”だと思う もっともそれは、力の最強ではなく、企画力に於ける最強という意味である。
 
 風営法の改正によって、特定の立場・職業を使ったアダルト映画・ドラマのタイトルが禁止となり、「看護婦」「女教師」「スチュワーデス(CA)」「OL」「女子大生」「女子高生」といった、かつてのロマンポルノ・ピンク映画界を席巻した名称が、ことごとく抹消させられていった。そんな中に「セーラー服」も含まれていたのは周知の通りだ(何故か「ブレザー」ってのはなかった。単に時代が間に合わなかっただけか……)。
 
 私の高校時代でさえ、広島市近郊の高校でセーラー服の高校は既に4校のみ(現在は3校)で、セーラー服自体、郷愁の彼方の存在だったが、あの独特のデザイン、そしてそれが指し示すイメージは、世の男性を魅了して止まなかったと思う。
 
 元来、海軍の機能的な軍服として生まれ、戦時下に体操服として女子校に根付き、かつては中高女子生徒の基本的な制服として一世を風靡したセーラー服。軍服が発祥で学ぶ者の制服として発展した歴史故、そこに邪な欲望を持つことは実に後ろめたく、その劣情が、アダルトの世界でいびつに利用されてきたセーラー服。世の男たちにとって、その名を口にすること自体、邪で恥ずかしい存在だったセーラー服。そのセーラー服を、世の娘たちのために(実はその父親のために)、アニメのヒロインとして昇華させたのが、まさに漫画セーラームーンだったと、私は勝手に思っている。
 
 女性が原作者で、少女漫画に連載され、まずは娘たちが支持し、アニメとして大ヒットした、という点では、当初は、妄想する男たちはどうぞ勝手に、というノリだったと思うが、やがて、ミュージカルを経て毎週テレビで放映される“実写版”となってからは様相が変わってきた。アニメではあまり違和感なかった、主人公等の、セーラー服の邪さをいびつに誇張したコスチュームが、生身の娘たちによって演じられる劣情は、なかなか凄まじかった。初めて実写版の予告編を見た時にはぶっ飛んだもの! それからは日曜朝の放映故、せっせと録画してはDVDに焼くという日々を毎週続ける羽目となった。
 
 劇中に於ける彼女らの所作は実にけなげひたむきで、それだけで“ヒロインアクション”の神髄・王道をいっていたのだが、如何せんあのコスチュームで戦う姿は、純粋に“ヒロインアクション”として楽しめない何かがあった。まあ、その分私の心がすっかり汚れてしまっているからだろうが………
 
 いずれにしても、世の男共に劣情を抱かせかねない姿で、決して劣情をおこなせない健気な群像劇で、ものの見事にオッサン世代を困惑させ、かつ虜にした“実写版”「美少女戦士セーラームーン。これもまた“ヒロインアクション”の”金字塔として、後の世にも長く語り継がれていくだろう。
 
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※ストーリー上は、主人公「月野うさぎ」演じる沢井美優が”センターと成るべきだろうに、何故かセーラーマーズの北川景子がセンター。何とも作為を感じるスチールである。