神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

「映画を撮る」夢の先に…… ~ひろしま映像ショーケース2021~

 生まれた時からカラーテレビがあった世代だったんで、映像というものには物心ついた頃から大変興味を持っていた。テレビを観ては、自分なりのヒーローや対怪獣チームを夢想したり(そして絵にしてみたり)、映画を観ては、自分なりのオリジナルストーリーを考えたりしたものだった。小学生時代、"東宝チャンピオンまつり”のゴジラ映画を観た直後、「今までゴジラと対戦していない怪獣は何だっただろう」と、持っていた『怪獣総進撃』のパンフに載った怪獣の一覧とにらめっこしながら、『ゴジラ対クモンガ』なる企画を、文字通り“夢想”した。東京の街並みを破壊しながら進行するクモンガ、その先には紅蓮の炎の中、仁王立ちするゴジラの姿……後に、ゴジラとクモンガは既に『ゴジラの息子』で対戦していたことを知り(実は本作が初めて観賞したゴジラ映画だったのに、記憶に残っていなかった……(;^_^A )、がっかりしたことを覚えている。いずれにしても、映画とは到底「自分の手に負えない遙か彼方の世界である」ということだけは子供心ながら認識していた。

 

右は当時の『怪獣総進撃』パンフレット(1968)、左は2017年に復刻されたもの


 中学時代は、一連の”角川商法”にすっかり影響されてしまった。当時「角川文庫の小説ならば映画化される」なんて幻想を描いていた。そこで「映画は撮れないけど、自分の小説が角川文庫化されたら、映画になる」なんて、これまた妄想を抱くようになってしまった。それ故、せっせせっせと稚拙な小説を書き始め、これは二十歳の時に、こちらは集英社の「コバルト文庫」の募集に応募して、見事一次予選で落選するまで続いた。今思えばちょうどその頃だったかな、実は自分たちでも映画が撮れることを知ったのは。

 

 "角川映画商法”の象徴にして、当時の私をすっかりその気にさせてしまった『人間の証明』(;^_^A 

 その“落選小説"をせっせせっせと書いていた頃、大学のSFサークルに所属していたが、そこで8ミリのSF映画を撮ろうって話になった。その頃は、それでも「自分たちで映画を撮る」なんて自分の想像を遙かに超えていたし、そもそもサークルでは一番下っ端の2年生だったんで、カメラを覗くこともなく、スタッフ・役者として参加するにとどまった。この時はまだ、この活動が「自分で映画を撮る」なんて考えには到底及ばなかったが、それでも「映画って撮れるんだ」くらいの思いは持てるようになった。

 


この時は照明係を務めていた私。若いなぁ(;^_^A 

 

 そして最終学年に、同級生に誘われて他学科の「映画論」を受講し、そこでついに自ら台本を書き、役者を立て、演技指導しながらファインダーを覗いて撮影し、編集・録音を施して一本の映画を作成することが出来た。台本が刷り上がったときのワクワク感、主演女優と最初の顔合わせをした時やロケで初めて女性の下宿に入った時のドキドキ感、初撮影でカメラを回した時の緊張感、深夜に渡ってロケを敢行した時の高揚感、そして自作が初めてホールの銀幕に映写された時の感動は、数十年も前のことだが今も鮮明に記憶に残っている(幸いなことにその主演女優とは、今でもFBやリアルでも交流が続いている(;^_^A )。

 

映画論における撮影風景(私を誘ってくれた同級生の監督作品)

 

処女作『新人代謝』のヒロイン

 

第二作『陽光で描いた風景画』のヒロイン二人


 小学校時代に“夢想”し、中高時代に“妄想”し続けてきた「映画制作」という「夢」は、メジャーな制作会社には到底及ばないものの、学生時代に結実し、それから幾星霜過ぎ去った今でも、時代によって形態を変えながら連綿と我が人生の中心に位置してきた。作るにしても観てもらうにしても「人あっての映画」なんで、人付き合いの苦手な自分にとって、今までの映画人生を考えたら、楽しかったことよりしんどかったことの方がうんと多かった気がする。しかし、それでも今日まで映画制作をやめられないのは、その"麻薬”とも称される甘美な魅力があるからに他ならない。この思いだけは、どんな映画人にも共通するんじゃないかな。

 いよいよ明日開催される「ひろしま映像ショーケース2021」。出品する『思い出はあしたから』は、そんな思いで撮り続けた拙作の中でも、極めて“難産”な作品だったけれど、上映後、当時西日本を代表するインディーズムービーのコンテストだった「ひろしま映像展」での入選を皮切りに、他県からの上映オファーを頂くなど、思いがけない評価を頂いた作品だった(それは池田撮影監督の映像美に拠るところが多かったけど(;^_^A )。

 

 

 昨年7月上映会のアフタートークを記録したYoutube映像。この度上映する『思い出はあしたから』の撮影秘話も随所に登場します(;^_^A 「


 過去の、それもうんと前の作品を観たり、ましてや一般に上映するなんて、気恥ずかしい限りだが、当時のこの映画に賭けた思いが少しでも映像からにじみ出ていれば、そして感じ取っていただけたら、本作を上映する意義に繋がると思う。昨年7月に上映したばかりなんで、心苦しい思いもあるが、その時ご覧にならなかった方も含め、他団体さんの作品も含め、是非多くの方々に観ていただきたいと願っている。

※先々日のブログで「VHS上映」と書きましたが、その後VHSテープよりもディスクの方が映像条件がよかったそうで、結局以前と同様、DVDでの上映になるそうです。

 

ひろしま映像ショーケース2022

広島発!インディーズムービー

日時:3/19(土)14:00~17:00
会場:広島市映像文化ライブラリー
    入場無料


自主制作グループドラマ作品
■Quest Movie Factory(QMF) 有名監督を輩出する老舗レーベル。
  上映作品『風さそふ』(監督/吉松幸四郎 84分)
  平成30年7月豪雨災害で被災したキャストも出演し、自然の抗い難い猛威に翻弄される家族たちの物語を描きます。
■イチヱンポッポフィルム(IPF) 娯楽アクションからファンタジー、アート、ロマンス、SFまで作品ジャンルは多種多様!
 上映作品『思い出はあしたから』(監督/胤森 淳 53分)
 広島の美しい風景をバックに展開する切ないラブストーリー。

■広島を盛り上げる実行委員会 映画で広島を元気に!若者と協同で作品制作やイベント開催。
 上映作品『生きて、生きる』(監督/山中富雄 35分)
 突然旅に出る事を言い渡されるマサルたちは、数々の困難に立ち向かい走り続ける…。
■市民活動で映画製作をする会 プロ顔負けのクオリティを誇る制作団体。
 上映作品『風鈴と僕と』(監督/はまの省蔵 23分)
 会社でのいじめに苦悩する青年が、癒しを求めて訪れた風鈴の家で巻き起こる騒動。