神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

ミレニアムゴジラ前期3部作 再検証

 過日、ムービープラスで『ゴジラ2000』『ゴジラ×メカギラスG消滅作戦』『ゴジラモスラキングギドラ大怪獣総攻撃』という、俗にいう“ミレニアムゴジラ”シリーズの前期三部作一挙公開された。こんな企画が、日本映画専門チャンネルではなく、ムービ―プラスで実現したのは意外だが、ここでは今までも“平成ガメラ”シリーズ三部作一挙公開ってのもあったし。でも、その中に同じ平成の『小さき勇者たち〜ガメラ〜』(『サルベージ・マイス』の田崎竜太監督作品!)が入っていなかったり、“ミレニアム”が『大怪獣総攻撃』で一区切りになっているところを勘案すると、さてはムービープラスの編成スタッフに、金子修介監督のファンがいるんじゃないかな?(;^_^A

 

 

 そういいながら、実はこの“ミレニアム”三作品のDVDを、それもBOXで購入している私にとっては、このくくりはまさに望むところで(;^_^A、この三作品を一連の流れで観賞できたのは、今年の如月最初に迎える週末過ごし方としては満点ともいって充実した時間だった。特に日ごろ好んで何度も何度も何度も何度も……観賞し続けた『大怪獣総攻撃』以外の2本は、最近すっかり観ることがご無沙汰だったんで、ある種懐かしさも伴って観賞できた。特撮技術としては、特殊撮影とCGとの融合が「平成ガメラ」以降絶妙な金子監督(樋口特技監督)の『大怪獣総攻撃』は別格としても、『2000』と『G消滅作戦』を比較したら、意外にも昔気質の特撮怪獣映画は『G消滅作戦』だったことを実感した。

 

 『2000』を劇場で観賞した際は、オルガの飛行体(銀色のUFO然としたもの)や害獣化する前のオルガを描いたCGにとても違和感を、それこそ今にして思えば、同じくムービープラスで毎月定期的に放映されるB級映画専門制作会社「アサイラム」の安価な特撮映画を観て感じるのと同じ「お手軽CGっぽさ」を感じてしまったものだった。ラストでまだゴジラは健在で、オルガ亡き後の東京を日に海にしながら(つまり結末がないまま)エンドマークが出る演出にはびっくりし、且つ感心したものだったけど。

 

 『G消滅作戦』では、『2000』はなかったものとして(本作に限らず、当時の“ミレニアム”シリーズは、『東京SOS』を除き、全て第一作『ゴジラ』以降のヒストリーはなかったものとして世界観が描かれていた)、ゴジラによって壊滅させられた東京に代わって大阪が首都になったとか、ゴジラによる原発破壊によって日本政府は原子力発電を断念するとか、大胆過ぎる(そして何とも小気味よい)アナザーストーリーの中で物語が展開する。真の怪獣映画、および特撮ファンを熟知した手塚昌明監督ならではの演出といっていい。またその特撮を改めて拝見したら、一部CGは使用されているものの、原則往年のミニチュアワークと着ぐるみによる特撮シーンが、先発の『2000』と比較しても大部分を占めていた。それ故、リアルさでいえば『大怪獣総攻撃』には及ばないものの、外連味っていうか、観る側のイマジネーションを喚起させるのに十分な映像になっていたと思う。『大怪獣総攻撃』が新しい段階ならば、『2000』はその過渡期の試行錯誤、逆に『G消滅作戦』は往年の東宝特撮の、その手法による究極の怪獣特撮って表現したらいいだろうか。

 

 『大怪獣総攻撃』は、それまで“平成ガメラ”シリーズで、特撮ファンに夢を与えてくれたその技法が、ついに本丸の東宝ゴジラで開花するか、との期待と、それに違わぬ仕上がりに狂喜乱舞したものだった。最近、当時の幼児にトラウマを与えたという、“究極の怖いゴジラ”と可愛らしいアニメのカップリングだった『大怪獣総攻撃』と『とっとこハム太郎』の2本立てが復活上映されたそうだが、当時の東宝が、この人気アニメを同時上映にするとか、初期設定の「バラン」「アンギラス」を人気怪獣の「キングギドラ」「モスラ」に変更するよう求めるとか、いろんな策を弄するほど、この作品の興行成績を不安視していたことが伺える。もっとも、それによって、キングギドラがベビ-フェイスになって、しかもゴジラにいとも簡単に(しかも姑息な攻撃に)滅ぼされてしまうという、どう考えても無理な展開になってしまったことは悔やまれる。それに特撮ファンからすれば絶対「バラン」「アンギラス」に登場してほしかった。そう考えると、あの傑作も、それこそ、キャストも決まり、それに合わせて脚本(ストーリー)も確定したのに、クランクイン直前にプロデューサーの横やりで、メインキャストが、有名人ながらその役柄に明らかに合わない俳優に差し替えられるようなものである。そんなハンディキャップをものともせず、あれだけの作品を作り上げた金子監督の手腕は敬服するしかない。

 

 それにしても、『ゴジラ2000』は1999年度公開、『ゴジラ×メカギラスG消滅作戦』は2000年度公開、そして『ゴジラモスラキングギドラ大怪獣総攻撃』は2001年度公開、と、どれももう20年前の話なんだよね。スピルバーグの『ジュラシックパーク』以降、急激にCG技術が特撮界を席巻していくんだけれど、この頃はまだアナログ特撮とCGとを如何にマッチさせるかに腐心していたことが改めて伺えた。

 

 ところで、この後の20年間に、ゴジラ映画は日米合わせて7本(日本4本ハリウッド3本)制作された。果たしてこれを多いとみるべきか少ないとみるべきか………?

 

 

 今回の話題に登場した金子修介監督(左)と手塚昌明監督(右)は、2017年1月に行われたトークショウでその姿を拝見している。この時には、『ゴジラvsビオランテ』の大森一樹監督も来広するなど、まさに奇跡のようなイベントだったよ(゚Д゚;)