「関西決戦」の夢
思い起こせば、今年度前半はセントラルの首位を阪神が快走し、後半に入ってすぐにオリックスがじわじわと順位を上げて、ついに優勝圏内にたどり着いた。我が地元広島東洋カープがセントラルの“地べたを這いつくばっていた”当時、「まあ、今年の日本シリーズは関西対決でいいんじゃない?」なんて思った。
今年強引に開催されたオリンピックには興味なく、意図的に遠ざけていたものの、先に開催された東京五輪の年、1964年に実現した、日本シリーズ唯一の「関西決戦」が今年に限り再現されるか、については興味があった。それ故、心のどこかで「讀賣よりは阪神だよな」とか「今年に限ってはオリックスでもいいよ」なんて思いが交錯し、広島も対阪神戦では別に負けてもいいし、千葉ロッテがオリックスと終盤デッドヒートを展開した時も、特にロッテに肩入れしたわけではなかった。
結果、オリックスは25年ぶりにリーグ優勝を果たし、阪神も2位ながら、まだ日本シリーズ進出のチャンスを残したままペナントレースを終えた。
だから甲子園でのファーストステージは、もちろん阪神を応援した。しかし結果は…………
現時点では、ヤクルト・讀賣・オリックス・千葉ロッテの4球団が日本シリーズへの出場を争う権利を有しているが、先の五輪以来の「関西決戦」は夢と消えた。少なくともその可能性がつい先程まであっただけに残念だ。
阪神タイガースが日本シリーズに進出したのが計5回。その対戦相手は、東映フライヤーズ、南海ホークス、西武ライオンズ、ダイエーホークス、千葉ロッテマリーンズの計5球団。うち3球団(東映・南海・ダイエー)は身売りによりもう存在しない。パシフィック所属の関西の球団は、現時点ではオリックスのみとなったが、かつては阪急ブレーブス・南海ホークス・大阪近鉄バファローズと各数回ずつコンスタントに日本シリーズに進出してきた。だが、そのうち阪神のシリーズ進出と重なったのが64年の南海だけだったのは巡り合わせの悪さを憂うしかない。
それにしても、人気球団故潤沢な資金に裏打ちされて選手獲得で優位に立ったり、ファンの大いなる後押しのある阪神タイガースだけに、もっと飛躍する可能性を秘めているはずである。あの、未だ一人のFA選手も獲得できない、そして100万程度の小規模都市で独立採算故、常に金策に追われ「お荷物」とまで言われた広島東洋カープでさえ、球団創立61年間のうち、今までリーグ優勝9回・日本一3回を数えているのだから。
近い将来、件の「関西決戦」を実現させてほしいものである。もっとも日本での五輪はもうごめんだが…………