神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『ゴジラvsビオランテ』は奇跡的なエンターティメント映画

 今日は「文化の日」……というよりも、1954年の今日11月3日に、水爆大怪獣映画『ゴジラ』が封切られた「ゴジラ生誕の日」だ。このことは今までずっと書き続けてきたことで、ちなみに今日はゴジラの実に67回目の誕生日となる。

 

 例年、この日にちなんで歴代のゴジラ映画のうち一本をランダムに観賞するようにしてきたが、今年に関しては、先に『ゴジラvsビオランテ』の4Kリマスター版(放映は2K)を観賞し、しばらくこの『~ビオランテ』一色になっていたから、今年はこの作品ということになった。

 

 

 いま改めてみても、実にエンターティメントに徹した作品だったという印象が強い。ゴジラビオランテとの都合2回にわたる激闘を軸に、「ゴジラ細微」を巡るスピーディーなアクション&サスペンス、英里加(沢口靖子)を巡る父親の葛藤、ゴジラ自衛隊との緻密な作戦を織り交ぜての攻防、等々、とにかく息をもつかせない目まぐるしい展開で、何度観ても飽きさせない。また楽曲の方も実に荘厳かつ的確な配置で、楽曲すらエンターティナーな活躍を魅せてくれている。

 

 例えば、金子修介監督の『ガメラ大怪獣空中決戦』『ガメラ2レギオン襲来』『GMK大怪獣総攻撃』に関しては、怪獣映画や特撮映画のファンの望みを見事に具現化したという意味でのエンターティメントな作品群だったが、『ビオランテ』に関しては、まさに一般の映画ファンを巻き込んでのエンターティメント、普通に、そして見事なまでの娯楽映画として、仕上がっている、と今回の観賞で実感した。なぜ最終的に、初代の『ゴジラ』を抑えて、本作が日本映画専門チャンネルの人気投票で第一位に輝いたのか、そこら辺りに理由があったんじゃないかな。

 

 この7月にようやく公開された『ゴジラvsコング』も、流石ハリウッド発だけあって、エンターティメントに徹した作品に仕上がっていたと思うけど、地球空洞説辺りの現実離れした設定を持ってくるよりは、もっと地に足の着いた、ゴジラとコングとの攻防を『キングコング対ゴジラ』的に描いてほしかった。そんな外連味、というか分かり易さも、やはり娯楽映画には必要だと思う。その点は、「ゴジラ細胞」「超能力少女」といった“地に足のつかない”設定が無きにしも非ずだったりするが、そもそも前作の『ゴジラ』(1984)で、いつの間にかゴジラを“生物”から”異形の神”設定にしてしまった(大体地球上の生物のはずなのに、いきなり放射能をエネルギーにする怪獣にしてしまうなんて……もっと荒唐無稽な『ガメラ』ならギリギリ許されても、核実験で安住の地を追われた“落とし子”のゴジラには似合わない設定だ)ところからのスタートだっただけに、あの物語展開は、それでも流石というよりほかにない。

 

 もっとも、同じ大森一樹監督の『ゴジラvsキングギドラ』の方は、地に足のつかない設定や、過剰なまでのハリウッドムービーへのオマージュが利きすぎていて、イマイチ楽しめなかった。そう考えると、この『ゴジラvsビオランテ』はいろんな要素が奇跡的に融合した、稀有な作品であったいえるだろう。