『もっと、素直に……』 by「懐かしの8mmフィルム自主映画上映会」
いよいよ2日後に迫った「懐かしの8mmフィルム自主映画上映会」。ここでは、そこで上映される当団体の8mm映画(作品)について記述します。今回は『もっと、素直に……』。
〈ストーリー〉
OL・榮子(石丸妙子)は、高校時代から年下の彼氏・裕也(石井清一郎)と付き合っている。しかしその関係は、最近湿りがち。
そんなある日、ドライブの最中に、些細なことで口論になってしまった2人は、喧嘩別れしてしまう。翌日は美術館でのデートまで計画していたというのに……。自分のアパートに帰ってからも、榮子の怒りは収まらない。そんな彼女の姿を見守る一枚の写真。高校時代の彼女が卒業記念に後輩の裕也と撮った記念写真である。しかし、その後方には、彼女にしつこく付きまとっていた同級生・若松(福原和夫)の姿も写っていた。
その夜、彼女の様子を見かねたのか、写真の中から高校当時の“エイコ”が姿を現した。彼女は本物の榮子に代わって、裕也との関係を修復するべく奔走する。そんな彼女の前に、これまた写真の“ワカマツ”まで出てきてしまった。一度はエイコに諭されて写真に戻ったものの、実は彼女の後を追って、2人のデート先である現代美術館までついてきてしまう。
2人の関係は修復するのだろうか? はたまたワカマツの邪な横恋慕が成就してしまうのか……?
〈解説〉
1991年12月にロケを行った8mmフィルムによる作品。同時上映の『思い出はあしたから』から遡ること3年前に撮られた映画である。なぜ撮影時期が鮮明なのかというと、本作がこの12月ひと月でクランクイン・クランクアップしたことと、おなじ月に一泊二日の行程で、福岡でこれも8mm映画の『こねこのらねこまいごのこねこ』を撮影(同じくクランクイン・アップ)し、ひと月で2本の映画を撮り上げたことで、とみに記憶に残っているからだ。まあ、あの頃は若気の至りというか、無茶をしてたものだ(;^_^A
“写真の精”の物語という、ファンタジー色の濃い、ラブコメ作品に仕上がっている。三年前に開館した広島市現代美術館とその周辺が主なロケ地。その後再開発が続いた宇品・出島付近の路上も多く登場する。また、今は亡き、広島駅前(南口)のネオンサインも、劇中何度もインサートされている。
実体のない写真が主人公ということもあって、カメラを止めての瞬間移動・消失などの8ミリ映画独特のローテクを駆使して創られた。内容自体は、予定調和なラブコメディーながら、クライマックスには、“写真映画”の最高峰といいっていい『さびしんぼう』の定義、「写真は水に弱い」を逆手にとったオチが用意されている。ちなみに本作品は、一度修道大学の上映会(1994年)で流されただけで、タイミングの悪さからか、当団体イチヱンポッポフィルム(IPF)の上映会では唯一一度も上映されていないという、数奇な運命を辿ってきた作品で、今回の上映会で、撮影開始から実に30年目にして、初のIPFの主催イベント上映となる。
8mmフィルム故、なかなか上映の機会に恵まれない、もしかしたら今回が最後の"一期一会”になるかもしれない作品です。18日には是非会場へ足をお運びください!!(^^)
「懐かしの8mmフィルム自主映画上映会」
日時 2021年7月18日(日)
会場 広島市中央公民館 研修室4
(広島市中区白島町24番36号)
入場無料(定員各回18名)
主催 イチヱンポッポフィルム/演劇企画室ベクトル
協力 BOX MAN FILM
後援 (公財)広島市文化財団
上映作品 『もっと、素直に…』(胤森淳監督)
『思い出はあしたから』(胤森淳監督)
『悪魔の誕生日』(池田健太監督・招待作品)
『ライダーヒロシマ』(奥一浩監督・招待作品)
上映スケジュール
9:30 開場
10:00~(2作品/計61分)
●もっと、素直に…
●悪魔の誕生日
11:15~(2作品/計88分)
●ライダーヒロシマ
●思い出はあしたから
13:00~(2作品/計61分)
●もっと、素直に…
●悪魔の誕生日
14:45~(2作品/計88分)
●ライダーヒロシマ
●思い出はあしたから
15:45~(約30分を予定)
アフタートーク
出演:
奥一浩(BMF)
池田健太(BMF)
胤森淳(IPF)