『思い出はあしたから』 by「懐かしの8mmフィルム自主映画上映会」
いよいよ5日後に迫った「懐かしの8mmフィルム自主映画上映会」。ここでは、そこで上映される8mm映画(作品)について記述します。まずは『思い出はあしたから』から。
〈ストーリー〉
真琴(土池雪子)は、カメラをこよなく愛する女子大生。生まれて間もなく他界した父・徹郎への思慕がたえない母の千鶴子(森田美苗)との二人きりの生活ながら、親友の景子(園部久華)・写真仲間の明(中山伊久雄)らに見守られて、元気に趣味の撮影を続けている。
だが、そんな彼女も、自分の写真に行き詰まったりもする。明から教えられた三滝寺より望む広島市街地の眺望に感動しながらも、なかなかシャッターが切れない。そこに現れたのが財津(柳田学)と名乗る一人の青年だった。最初こそ、素性も知れず気味悪がってはいたが、写真撮影の技術に長けた財津に、元来亡き父への思慕から年上の男性に憧れる傾向にあった真琴は、徐々に彼を男として心惹かれていった。
しかし、心ひそかに彼女を恋していた明や、財津の姿を偶然見た途端、娘である真琴に対して、女としての嫉妬心を抱いてしまった千鶴子の思惑により、二人の関係は意外な方向へと進んでいくこととなった…………。
果たして財津の正体は? 真琴の恋の行方は…………?
〈解説〉
1994年よりロケを開始した8mmフィルムによる作品で、制作には、当時すでに日本国内現像を停止していたスーパー8フィルムを使用し、国外(ハワイ)での現像故、撮影後3ヶ月以上立たないとフィルムの確認が出来ない、という今では信じられないような状況下での撮影だったが、紆余曲折を経て、なんとか完成にこぎ着けた。撮影期間も何度か中断を挟みつつ1年以上に及んだが、その分四季折々の広島の風景(秋の安芸の宮島、三滝寺界隈、冬の平和公園、広島城、現在サッカースタジアム開発が続く広島中央公園などなど)を収めることが出来た。
カメラをモチーフにし、不思議な存在との交流を描く、という点では、敬愛する故大林宣彦監督のこれも敬愛してやまない『さびしんぼう』と重なるが、主人公を女性に、そして不思議な存在を年上の男性にすることで、また違った世界観で描き出すことが出来た。甘く切ないファンタジー作品に仕上がったと思っている。
ちなみに本作は、撮影監督を務めた池田健太氏を始め、BMFの協力も得、当サークルの作品群の中でも出色の完成度を誇る作品に仕上がった。おかげで初めて広島以外での上映オファーも頂き、イチヱンポッポの全国交流の足がかりともなった、思い出深い作品でもある。
・ひろしま映像展96 入選
・第16回市民文芸作品募集(文芸ひろしま)シナリオ部門三席(脚本)
8mmフィルム故、なかなか上映の機会に恵まれない、もしかしたら今回が最後の"一期一会”になるかもしれない作品です。18日には是非会場へ足をお運びください!!(^^)
「懐かしの8mmフィルム自主映画上映会」
日時 2021年7月18日(日)
会場 広島市中央公民館 研修室4
(広島市中区白島町24番36号)
入場無料(定員各回18名)
主催 イチヱンポッポフィルム/演劇企画室ベクトル
協力 BOX MAN FILM
後援 (公財)広島市文化財団
上映作品 『もっと、素直に…』(胤森淳監督)
『思い出はあしたから』(胤森淳監督)
『悪魔の誕生日』(池田健太監督・招待作品)
『ライダーヒロシマ』(奥一浩監督・招待作品)
上映スケジュール
9:30 開場
10:00~(2作品/計61分)
●もっと、素直に…
●悪魔の誕生日
11:15~(2作品/計88分)
●ライダーヒロシマ
●思い出はあしたから
13:00~(2作品/計61分)
●もっと、素直に…
●悪魔の誕生日
14:45~(2作品/計88分)
●ライダーヒロシマ
●思い出はあしたから
15:45~(約30分を予定)
アフタートーク
出演:
奥一浩(BMF)
池田健太(BMF)
胤森淳(IPF)