フィルムに直接焼き付けられた時間・空間・人
かつて映像制作の媒体はフィルムだった。そのフィルムにもサイズによってさまざまな規格・用途があったわけで、8mmフィルムならば個人使用の“小型映画”、16mmフィルムならば、テレビ放映用のドラマやドキュメンタリー、アニメなどに使用、35mmフィルムは劇場映画、そして70mmフィルムはシネスコ用、って色分けされていた。価格はワンランクサイズが上がるたびに凡そ10倍ぐらいに跳ね上がっていたと思う。それでいうと、モノクロながらテレビドラマなのに35mmで『ウルトラQ』を撮ってたり、他の特撮ドラマも合成シーンのみ(オーバーラップに至るまで)35mmを使っていた、1960~1970年代の円谷プロは、恐ろしく贅沢な作品作りだったといえる。
私たちのような自主映画制作人は、普通8mmで、16mmは憧れの的、いつかはそれで映画を撮りたいと願ったものだった。その点、ヒロインアクションムービーの盟友、シネマペロの稲葉司監督は、以前16mmで『はずみ』という映画を製作、今は「八丁座」となった広島名画座でのレイトショー公開を実現している。
さて、そんな規格の違いという一面も持っているフィルムだけれど、もっと根本のところで、他の映像記録媒体と異なる大きな特徴がある。それは、映像としての画像を、光と影を、ダイレクトに記録するという点だ。昨今のデジタルも、その前のビデオテープも、その媒体に直接画像があるわけではない。すべて記号データに変換して記録している。それ故、専用の機器(ビデオデッキ・ディスクドライブ等)を通さなければ、画像も映像も観ることが出来ない。しかしフィルムならば、ネガとポジの違いこそあれ、フィルムを直接見れば、そこに画像が焼き付けられているのを目視することが出来る。それって、サインを直接色紙に書いてもらうのと、サインをスキャナーに書いてもらってその画像データを保存するくらいの違いではなかろうか。だから、例えば『七人の侍』のネガフィルムには、その当時の三船敏郎が志村喬が千秋実が宮口精二が木村功が津島恵子が、その姿を直接焼き付けられているわけだ。決してデータ変換されることなく、その光と影と共に“生”のままで……
そう考えると、フィルムはその時その時を切り取って“直接”記録する、意外と“艶めかしい媒体”といえるのかもしれない(;^_^A そう考えると、今まで撮ってきたフィルムたちがこの上なく大切に思えてくる。
今回は上映しないけど、拙作『午下がりのシンデレラ』の未使用カット。これが8mmフィルムです(;^_^A
先日開催を公表した「懐かしの8mmフィルム自主映画上映会」。そのPRもかねて、今日6月4日の20:00~21:00の枠で放送される、FMはつかいち(76.1MHz)の番組「劇団Tempaのゲキラジ!」に出演します。一緒に出演するのは、今回のイベントに自作8mm映画『ライダーヒロシマ』を出品してくれたBOX MAN FILMの奥一浩監督。奇しくも4年前のシネコン・イオンシネマ広島で開催した「『女子高生戦士(JKファイター)☆英あいり』上映会×ヒロイン解体新書」の「ヒロイン解体新書」以来の競演となります。今回は8mmフィルムについていろいろ語る機会がありそうですが、上記のような内容に至らなくても、しっかり8mmについて語りたいと考えています(^^)
受信可能な近郊の方はもちろん、FMはつかいちのHPを開いてもらえたら、全国どこからでも聴取は可能です。宜しかったら是非聴いてやってください(;^_^A
「懐かしの8mmフィルム自主映画上映会」
日時 2021年7月18日(日)
会場 広島市中央公民館 研修室4
(広島市中区白島町24番36号)
入場無料(定員各回18名)
主催 イチヱンポッポフィルム/演劇企画室ベクトル
協力 BOX MAN FILM
後援 (公財)広島市文化財団
上映作品 『もっと、素直に…』(胤森淳監督)
『思い出はあしたから』(胤森淳監督)
『悪魔の誕生日』(池田健太監督・招待作品)
『ライダーヒロシマ』(奥一浩監督・招待作品)
上映スケジュール
9:30 開場
10:00~(2作品/計61分)
●もっと、素直に…
●悪魔の誕生日
11:15~(2作品/計88分)
●ライダーヒロシマ
●思い出はあしたから
13:00~(2作品/計61分)
●もっと、素直に…
●悪魔の誕生日
14:45~(2作品/計88分)
●ライダーヒロシマ
●思い出はあしたから
15:45~(約30分を予定)
アフタートーク
出演:
奥一浩(BMF)
池田健太(BMF)
胤森淳(IPF)