自主映画の「温故知新」
「温故知新」とは「古きを温(たず)ねて新しきを知る」。この言葉を残した、中国を代表する思想家・孔子の弁によると「古典を学んで、その中に現在に通用する価値観を見出す」という意味なのだそうだ。ようは「古典に学べ」である。
今では「インディーズムービー」という小洒落たネーミングが闊歩しているが、元々は「小型映画」とも「自主映画」とも呼ばれたこの世界は、ビデオカメラが普及するまで、主に8ミリフィルムによって撮られていた。
もっとも、1980年代前半に、エルモ社が最後の映写機「ST180」を販売したのを最後に、8ミリフィルムの撮影機も編集機も、フィルムをつなぐスプライザーも、中古市場でしか手に入らないものになってしまった。かつて8ミリフィルムの機材を販売していた「ELMO」「GOKO」「LPL」といったメーカーの名を目にすることもなくなってしまった。
しかし「レトロ通販」等の頑張りによって、8ミリフィルムは未だその生存を永らえている。それこそ、本来ミリフィルムにとって代わって登場したはずの8ミリビデオも、デジタル8も、そしてその後継規格だったDVさえも、今やその存在は「風前の灯火」である中、8ミリフィルムだけは、未だ健在である。
わかもの映画祭に出品した『THE 争奪戦っ!』以降、すっかり新作制作が滞っている身ではあるが、決して創作意欲が衰えたわけではない。できれば、近く新作の制作を開始したい、そんな願望を常に持ち続けていおる。
しかし、そんな今だからこそ、一旦原点に立ち返って、8ミリ時代の作品に思いを馳せてもいいかな、なんて思ったりする(;^_^A
映写機の不備や、テレシネした時の劣化などを鑑みるに、今のうちにしかるべき措置を施したうえで、積極的に公開していかなければ、との焦燥に駆られるときもあるが、まずは8ミリフィルムの存在を是非体感してほしい。そんな機会になるイベントが開催できれば、て願っている。