神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

石原プロ・フェニックス

 この1月で、ついに石原プロモーションがその長い歴史に幕を閉じた。それもあってだろうが、「映画にかけた夢 石原プロモーション58年の軌跡」なるムック本が刊行された。この石原プロに関しては、どうしても「太陽にほえろ」、「大都会」シリーズ、そして「西部警察」といった型破りなテレビドラマのことが話題になりがちだが、私個人としては、裕次郎が日活から独立して石原プロを立ち上げた直後の、一連の映画に大変興味を持っている。黎明期の円谷プロに特撮を依頼した『太平洋ひとりぼっち』を皮切りに、三船プロと共同で制作した超大作『黒部の太陽』、世界ロケが秀逸な『栄光への5000キロ』、勝新とがっぷりタッグを組んだ『富士山頂』といった、実話をもとにした、まさに“映画版「プロジェクトX」”とでもいうような作品群がまさにそれだ。今回このムック本では、そこら辺りも丁寧な記述がされていて、資料的にも貴重な本なんだけど、今までそんな石原プロが一時期凋落の一歩をたどった直接の原因が、日米を巻き込み巨額の制作費で撮った『ある兵士の賭け』の興行的失敗だったと思っていたが、実はきっかけの一つに過ぎず、その後も『エベレスト大滑降』『甦える大地』と撮り続けながらヒットに恵まれず、それらの要因が相まって、一時倒産の危機にさらされたことを知った。

 

 

 そうやって石原プロの歴史を読み進めていくと、“IPF”という、私にとっては非常になじみ深いイニシャルが出てきた。映画製作の不振から多額の借金を抱え、しかも頼みの裕次郎も病気入院を余儀なくされるという事態の中、シネカメラなど貴重な撮影機材を処分して会社の解散もやむなしと裕次郎自身が考えていた時、なんとか撮影機材の処分だけは防ごうと、石原プロのスタッフが、CM撮影など様々な下請けをこなそうと立ち上げたのが、「石原プロ・フェニックス」通称I・P・Fという子会社だったんだそうだ。このことに関しては、向谷匡史氏著「太陽と呼ばれた男 石原裕次郎と男たちの帆走」の中にも記述があって、そこでは「石原プロ・フィルム」となっていたが、石原プロの社史では「~フェニックス」だったので、「石原プロ・フェニックス」の方が信憑性は高いかもしれない。


 確か当時、CMを通して宝酒造と翻意となり、同社が石原プロに出資する代わりに、「映画の夢ばかり追うのではなく、テレビの方に進出すべし」と裕次郎を諭した云々が、はるか前BS2の裕次郎特集でインタビューとして出てきたと記憶している。だが、そんな働きがけの背景に、倒産の危機を救った、文字通り「石原プロ“フェニックス」の存在があったのは、決して歴史の中に埋もれさせてはいけない事柄だと思ったね。

 

 それにしても、当方のIPF(イチヱン・ポッポ・フィルム)を立ち上げたのは35年前の1986年だったけど、それ以前に、ヘッドライトメーカーや、この「石原プロフェニックス」といった「IPF」はいっぱい存在していたんだなぁ(;^_^A  35年じゃまだまだ青二才だ(;^_^A

 

 そんな35周年のIPFのイベントのお知らせです!

 

 

 

 広島市文化芸術の灯を消さないプロジェクト 

 Project of the Artist~オンラインでつなぐ創作の輪~

 

 新型コロナウイルス感染症拡大により、上映会の延期など、創作・発表活動が阻まれた2020年。
 先が見えない不安な日々は続いていますが、少しでも前に進むために、このたび「新しい生活様式」に配慮しながら“共助の精神”に立って文化芸術の灯を守る取組「広島市 文化芸術の灯を消さないプロジェクト」として、仲間達とともに映画+音楽+写真+朗読の「オンライン配信」イベントを開催します!

 

《石井清一郎 映像WORKS with Artist オンライン配信》
 内容:石井清一郎監督作品「凪いだ、あの夏の日」、石井清一郎製作総指揮 新作MV「For Absent Friend -ここにいないあなたへ-」、プレパラート(小方祐馬、篠原新治、他)によるライブ、越後佐知子撮影による写真、朗読(朗読者後日発表)を配信します。

■石井清一郎監督作品「凪いだ、あの夏の日」:
 失恋し、仕事も解雇され絶望の淵に立たされた青年が河川敷で少女と出会う。その少女に青年はどこかで会った記憶があるが思い出せない。少女の不可思議さが気になりつつもどこか懐かしさを抱く青年だが…。2018年第一回エディオン蔦屋家電フォトコンテストで大賞を受賞したスチルカメラマンでもある石井清一郎が初めてメガホンをとった意欲作。青年と少女が触れ合う儚い瞬間を美しい映像で描いた中編ファンタジー。(35分)
〇出演:有田賢生、Anne、井原武文、貢藤十六、廣瀬瑠花、みつふじひろあき、黒長未知子、黒長深優、黒長千笑、黒長雄大、越後佐知子、加藤尚子、松永恭平、爽田にこ 
〇音楽・詩:小方祐馬/プレパラート
〇スチル:越後佐知子、古原嗣健
〇アドバイザー:恵南牧、胤森淳、伊藤たえ
〇フライヤーデザイン:示京子
〇制作進行・録音:加藤尚子
〇脚本・撮影・編集・監督:石井清一郎
〇企画・制作:イチヱンポッポフィルム

■石井清一郎製作総指揮 新作MV「For Absent Friend -ここにいないあなたへ-」
 このイベントのために制作した新作となるショートムービーテイストのミュージックビデオを配信します。
〇出演:高口奈月、吉松優衣奈、小山さき、松本朋栞、泉舞衣子、田川美由紀、木村みどり、田浦亜理砂、島原智子、塩田靖、伊藤敦、播野剛、志水一則
〇音楽:小方祐馬
〇スチル:Sachiko Echigo
〇制作:加藤尚子
〇協力:鏑木悟道/がはらださん/胤森淳
〇撮影・編集・監督:吉松幸四郎
〇制作総指揮:石井清一郎
〇企画・制作:QMF/イチヱンポッポフィルム

■プレパラートライブ(音楽):
 小方祐馬、篠原新治、他により、映画のために制作した音楽やオリジナル曲などライブ配信します。

■ 越後佐知子(写真):
映画・映像のために撮影したスチル写真を中心に、新作を含む作品を配信します。

■ 後日発表(朗読):
小方祐馬(プレパラート)が書いた詩を朗読し、ライブ配信します。

↓視聴はイチヱンポッポフィルム Youtubeチャンネル(視聴無料)へ
https://youtu.be/JwHWwE3Q_Wg
※現時点で上記で予定していますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、中止、延期となる場合があります。