神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

黒木華 七変化!

 年末にTBSチャンネル2で『凪のお暇』の一挙放送があった。主題歌の絡みで娘が大好きだったドラマなんだけど、あいにく地上波放送では最初の数話が録画できず、しかも先だってこのチャンネルで放映された時も、始まってしばらくしてからそのここを知ったため、また肝心の回を録り逃してしまった。今回もたまたま同チャンネルで録画したドラマのCM抜きを行っている時に、翌日の再放映のことを知り、ホントギリギリで録画セット、晴れて全話を“コンプリート”することが出来た(;^_^A

 

 さて、このドラマの主演は黒木華。非常にホワンとした雰囲気といい意味で当たり前すぎる平凡なルックスを兼ね備えた、特異な女優である。出演する作品も、岩井俊二監督作品を筆頭に、そんな彼女の”空気”のような雰囲気を上手く引き出すような映画が目立っていたような気がする。また以前、日本映画専門チャンネルの宣伝で、あの赤いほっぺをさらに赤らめながら消え入るような声で「日本映画専門チャンネル……」ってつぶやくCM映像が印象に残っている。

 

 

 

 だからといって色気がないか、といえばむしろその逆で、どこか手が届きそうな親近感とは裏腹に……否、それゆえにそこはかとなく醸し出す女の色香は、身近に感じる分だけグッと胸に迫ってくる感がして、実にエロティックだ(;^_^A 

 

 そんな、受け身ながら一たび飛び込んだら途端に魔の虜になってしまう……そんな儚さと危うさを兼ね備えている黒木華だが、実は彼女の演技で一番好きだったのは、『ビューティフルドリーマー』の本広克行監督作品『幕が上がる』における、元劇団員の演劇部顧問教師役だった。この作品で彼女は、いつもの儚さは鳴りを潜め、未熟ながら向上心を持ってひたむきに舞台に打ち込む、ももクロの(当時の)5人が演じる演劇部員を、時には厳しく時には優しく鍛え上げる、女性ながら気っ風がよくて“漢気”溢れる演劇部顧問を、実にエネルギッシュに演じていた。それこそ「これがあの黒木華か?」って思うくらいの熱演だった。それから、彼女に対するイメージが激変するとともに、黒木華という女優に大変興味を持つようになった。

 

 

 その儚さと危うさを湛えた、相手に対する“受け”の演技が印象的な彼女も、『凪のお暇』では、逆に周りに翻弄される“振り回されキャラ”を嬉々と演じている。また実に感情的に行動しておる姿も意外である。確かにイメチェンを図ろうと、母親(片平なぎさ!)から「何て変な格好してるのよ!」って言われるくらい、肩まで伸びたストレートヘアをもじゃもじゃのパーマにしたりしているが、それさえもどこか空回りしているような印象を与え、まるでギャグである。

 

 

 そんな彼女とは裏腹に、彼女の彼氏である高橋一生に心を通わせる後輩OLの唐田えりかが、あたかも黒木華の本来のポジションについている感がある。儚げな雰囲気ながら、いかにも男好みの容姿・人当たりの良さを醸し出して、彼氏の高橋を惑わす“魔性の女”を好演していた。彼女は実生活でも、東出昌大との不倫騒動を起こすなど、本人に自覚があるのかないかは別として、男心を惑わす“魔性ぶり”を発揮している(それにしても葉月里緒奈といい、この唐田えりかといい、チオビタドリンクCMキャラは何かと後に“魔性”キャラになるようで……ヾ(- -;)。

 

 

 それはそうと、いささか生意気なことを書くが、今まで儚げで危うげで……そんなキャラクターがお似合いだった黒木華が、先の『幕が上がる』やこの「凪のお暇』での演技で、その芸風に新境地を開いたのは、実に喜ばしいことだ。次は是非、この虫も殺さないような表情で敢えて毒婦(ヴァンプ)辺りを演じてほしい。かの悪女キャラのイメージが強い菜々緒が善玉で、黒木華が極悪の黒幕、なんてドラマが出来たらどんなにワクワクして観られるだろう! そういう“冒険”を映画・テレビ界に期待するね(;^_^A、