涙腺のスイッチ
久しぶりにテレビで『ルパン三世カリオストロの城』を観た。かれこれほぼ二年ぶりの観賞だった。とはいっても観始めたのは、クライマックスの時計台のシーンから。だから既に何度も何度も何度も何度も……観てきて、そこに至るストーリーは熟知しているものの、プロセスとしては、あくまでラスト10分前からの観賞だ。そしてそれからの展開もセリフの一文一句まで諳んじることが出来るくらい理解している。もうすっかり見慣れたシーンだ。
そこで考えた。ここからいきなり本作を観賞して、果たして感動できるだろうかって………これはある種の実験だ。はたしてこの世に「涙腺のスイッチ」があるか否かの実験である。で、結局のところ、不覚にもまた泣けてしまった。
もっとも今回は、クラリスを抱きしめることができないルパンの姿より、その直後の銭形警部の「いや、奴はとんでもないものを盗んで行きました……あなたの心です」のところで図らずも泣けたんだけど(;^_^A、いずれにしてもこのラストは、まさに「涙腺のスイッチ」であることが図らずも実証できた(とはいっても私に限ってのことかもしれないが(;^_^A)。
先月、『みをつくし料理帖』を観賞して、本作には王道演出による3か所の“泣かせのポイント”があったと、当ブログでも言及したが、やはり観客を気持ちよく感動させ泣かせるツボというかポイントはやはり存在するのだろう。でもそれを「人心をもてあそぶ」とは思わない。もちろんそれが邪なプロバガンダに利用されることがあってはならないが、そんな「手垢にまみれた安っぽい“泣かせ”の演出」こそ、映画やドラマを観る者の心を癒してくれるテクニックなんじゃないかなって思うよ。