神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

ヒロインとブーツ インディーズ編

 「ヒロインとブーツ」ネタに関して、拙作『特命探偵☆葛城アキ~郷土の怒りをぶちまけろ~』を例に記述してみたい。

 

 本作は、2012年ロケ、翌2013年公開した当方の"広島発ヒロインアクションムービー"シリーズ第5作目で、初めて広島市を離れ、隣接する呉市を舞台にした作品である。これは主人公を元女性海上自衛官(WAVE)で、、元上司と興した探偵社で働く女性(特命)探偵に設定したかったからである。また呉市のロケーションも描きたい、との思いから企画がスタートした。その際、根が真面目な元自衛官というキャラクターや、それ故元上司を始め男たちに翻弄される可笑しさを盛り込もうと、結構コミカルなシーンも交えて描こうと考えていた。

 

 

 さて、今回のテーマに沿って、何故主人公にピンヒールのニーハイブーツを履かせたか、というと……以前仕事で岩手に出張する際、その余暇で芭蕉の句にも詠われた平泉に足を伸ばそうと、ネットでいろんな情報を集めたとき、とある方の平泉旅行記を見つけた。その方は女性だったらしく、平泉にピンヒールのブーツを履いて行ったまではよかったが、金色堂や鞘堂を巡る際、急な坂道ばかりで、ピンヒールで登るのがとても辛かった旨を切々と書いてあったのを読んで、それ以来いつかはこんな場面を自分の映画にも取り入れたら面白いと思っていた。そこで呉市は坂道が多いこともあって、このシーンを本作で描くべく、彼女のコスチュームを決定した次第である。劇中、元上司の伊吹(俊平)から「今回の捜査にはうってつけだから」と、自らの趣味を押しつけるような衣装・靴を無理矢理着用させられた(しかし元上官故、素直に従う)アキ(綿谷みずき)は、ターゲットの最上社長(青木潤)を尾行中、慣れないピンヒールと悪戦苦闘した挙げ句に狭い坂道で転倒してしまい、逆にそれが効を奏して、尾行相手の最上の懐に飛び込むことに成功する、という落語のオチのような展開を迎える。本作で彼女は、スーツ姿、フレンチコートにミニスカート・ニーハイブーツ姿、そしてクライマックスにはセーラー服に黒い革のグローブを装着した「スケバン刑事」姿を披露するが、ニーハイブーツは劇中盤まで着用し、ピンヒールのまま、一時は彼女の最強の敵となる手練れの拳法使い・八重山(麓俊貴)と大立ち回りを演じる。そこにはアキ役の綿谷みずき嬢の身体能力の高さを感じさせる。そんな彼女も過日NHK BSプレミアムドラマ「八つ墓村」に女中役で出演し、台詞もあってなかなかの活躍を魅せていたのは、以前このブログでしたためた通り。 

 

件の葛城アキ「坂道で転倒」シーン(;^_^A(劇中映像より)

 

 フレンチコート・アンゴラのセーター・赤いタイトミニスカート・ニーハイブーツと、あたかも1970年代から飛び出したファッションといい、セーラー服といい、上司・伊吹というよりは監督の好みを押しつけたような、そう言う意味で劇中の小ネタも含め、かなり"遊んだ"映画だったといえるヾ(--;)。

 

 本作は当初シリーズ化も念頭に置いていたが、生憎主人公の綿谷さんが広島を離れることになったため、1作限りとなってしまった。本当は続編のネタも既に考えていて……呉市を訪れる観光客が、「肉じゃが仮面」なる者に無理矢理肉じゃがを口に押し込まれるという事件が頻発し、その調査にアキが乗り出す。そして調査の過程で、「肉じゃが仮面」は呉市の信用を失墜させて、「肉じゃが発祥の地」論争で地元・舞鶴市を優位に立たそうと画策した輩の陰謀であることが判り、その黒幕である京都の舞妓・鶴舞子とアキが最後に一騎打ちする(『葛城アキ』では、毎回犯人を女性にする設定で行こうと考えていた)、「肉じゃが仮面の秘密を暴け!」というサブタイトルの物語になる予定だった。また、1作目のラストでアキから戦闘時にセーラー服着用をさせられた理由を詰問されて「自衛隊ではWAVEだけセーラー服が着れなかったからだ」とうそぶいた伊吹にも、2作目では何で隊の中で自分を探偵社に誘ったか詰問するアキに対し、「それはお前が一番可愛らしかったからだ」って言い放つシーンまで考えていた。まあ、今となっては"幻"だけどね(;^_^A

 

 

 まあ、思いがけず、もう随分前に撮った映画のことを改めて整理する良い機会を造って頂けたので、今回当方の記事に触れたブログを書いていただけたことには深く感謝したいですね(^^) もっとも、思い出は昨日まで……要は早く次なる企画を立ち上げねば……(;^_^A

 

 それにしても今までの「ヒロインと~」ネタを全てブッ込んだら、きっと(いろんな意味で)凄いアクションヒロインが誕生しそうだな(;^_^A