神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

“8ミリ最後”の日と黒澤明監督と………

 今から22年前の1998年は、奇しくも今年と曜日が一緒で、昨日9月6日も今年と同じ日曜日だった。 

 

 そんな1998(平成10)年9月6日に「Hiroshima発 Indies Movie」と銘打った上映会を、本当ならば「広島発ヒロインアクションチャンピオンまつり」を開催する予定だった、同じ広島市西区民文化センター(現コジマホールディングス西区民文化センター)スタジオにて実施した。上映作品は『むてっぽう。』『タフ☆ガイ』『幻触』の長短織り交ぜた撮り下ろし3本立てのイベントで、全作不肖私めの作品だった。思えばこの3作品のうち、一番最初に撮影を開始した長編『むてっぽう。』でさえクランクインは同年2月。それからさらに中編(25分)の『タフ☆ガイ』と、2部構成で正味15分程度の『幻触』を加えて、それでも何とか9月に間に合わせたのだから、当時はどれだげ映画のことばかりに没頭していたか推して知るべしである(;^_^A しかも全作品8ミリで撮ったとあって、編集などのポスプロも煩雑さは半端なく、それこそ「むてっぽう」なことをしていたもんだな、と今更ながらあきれ返る(;^_^A 


 そして迎えた当日、エルモのGS1200クセノン(往年の高性能8ミリ映写機)をスタジオに持ち込んでの上映で、何とかクリアな映写を保ちつつ、上映会は無事終了した。うち『むてっぽう。』に関しては、昨年3月に、広島市映像文化ライブラリー主催の「ひろしま映像ショーケース2019」で再上映して頂いたが、その際はテレシネビデオの上映だったので、当時の上映会は今思うと画期的なイベントだったといえる。そして1985年に『新人代謝』という作品を初監督して以来、ビデオ全盛の時代にも敢えて8ミリ映画を撮り続けてきた自分にとっても、この時の上映会が、自作8ミリ映画最後の上映イベントとなった。まあ当時はまさかそうなるとは夢にも思っていなかったけど……… 

 

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 さて上映会も無事終わり、近くの居酒屋で打ち上げとなったが、会が盛り上がっている最中、誰が見つけたか、黒澤明監督の訃報が突如伝わってきた。中には「だったら我々が黒澤監督の遺志を受け継ごう!」なんて勇ましいことを口にする者もいたが、その報にテンションも下がりまくり。結局些細なことで口論になって、会の最後の方はグチャグチャになってしまった苦い思い出がある。その時泣かせてしまった『むてっぽう。』主演の子とは、それから11年後にひょんなことから平和公園で再会できて、事なきを得たのだが、当時のことを考えると全く持って申し訳ない話だった。 


 そんなわけで、現状で私が8ミリで映画を撮って公開した最後の日と、黒澤明監督の命日を、こんな形で関連付けることはほとんどなかったのだが、改めて考えると、フィルムとの別れと黒澤監督との別れが同日だったなんて、私事ながら何とも象徴的だ。その後数年のブランクがあった後、今度はデジタルでの映画制作にシフトしてしまったけれど、今もこうして映画だ撮り続けられていることに感謝したい。そしていつかはこの「8ミリ最後の日」を撤回して、もう一度8ミリフィルムに触れられたらいいな、って思っている。