神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』~東映ズベ公映画の換骨奪胎~

 最近インスタグラムで拝見したマーゴット・ロビーのアクションが素敵だったので、遡ってのレビュー掲載(;^_^A

 

 

 昨年度4月より我が人生初の「年間毎月劇場映画観賞」の末尾を飾ったのが、件のマーゴット・ロビー主演の『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』。マーゴット・ロビーといえば、9月に観賞した『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で、悲劇の(そして劇中では悲劇でない)女優であるシャロン・テートを素敵に演じていた女優である。もっとも、今回のスピンオフ作品の前の『スーサイド・スクワット』も拝見しているので、彼女のいい意味での自由奔放ぶりは承知の上である。

 

 本作の5ヶ月目に、あまりにも切ない、ホアキン・フェニックス主演の『JOKER』を観ていただけに、そのJOKER(勿論本作と『JOKER』の関連性は皆無)の情婦というハーレイ・クインの設定にはいささか違和感はあったね。もっとも、それ故本作は“別物”として観ることができたのは幸いだった。

 

 それまで闇の実力者JOKERの情婦としてやりたい放題やってきたハーレイが、頼みのJOKERに振られ、大いなる後ろ盾を失った途端、今まで彼女に恨みを持っていた者共から付け狙われる、という設定のもと、ゴッサムシティを牛耳るため多額の資金が必要な闇のボス・ローマンが目を付けたダイヤの居所を知るスリの少女・カサンドラを、過去の恨みからローマンに拉致されたハーレーが、命の交換条件として連れてくることを約束するが、やがて彼女と共にローマンに反旗を翻し、そこに、親の敵としてローマン一家を付け狙うハントレスことヘレナや、ゴッサム市警で冷や飯ばかり食わされている女刑事・レニー、ローマンのバーで歌姫をしながら彼のやり口に辟易していたダイナと共に、ローマンたちに戦いを挑む、というのが本作の本筋だ。

 

 どんな状況下でも軽口と楽観論を失わず、成り行きで苦難を乗り切っていくアンチヒロイン。ハーレーが、最初は敵対し反目しあうヘレナやレニー、口汚くののりしあうカサンドラと、共通の敵を前に「呉越同舟」ながら共闘を誓い、うらぶれた廃墟のテーマパークでローマン率いる殺戮集団に、それぞれの武器絵や英知を駆使して戦いを挑むって設定は、まさに東映プログラムピクチャーで、池玲子杉本美樹が何度も何度も何度も何度も………演じてきた“ズベ公”映画そのもの。このカタルシスには、劇場で身震いするほど感激した(;^_^A しかも諸悪の根源・ローマンはきっちり爆殺させるなど、本当にスカッとする展開(^^) これこそ娯楽アクションなんだって実感したね(;^_^A

 

 主人公がアンチヒロイン、しかも鼻持ちならないキャラクターなんで、『スーサイド・スクワッド』の時を思い出してあまり楽しい映画ではないかな、って危惧したけど、その点はより悪辣な敵役を設定したことで見事にクリアしていた。また理不尽なキャラに登場人物(特に主人公)が翻弄される物語も嫌いなんだけれど、本作ではカサンドラをはじめ、本来振り回しキャラのハーレイが逆に振り回される設定になっていたので、その点もいい“ブレーキ”が効いて心配なかった。しかも劇中一番損な役回りの警官・レニーも、最後の最後で警官の衣を脱ぎ捨てて不条理な世界で思いっきり暴れるので、その点も見事なノンストレス作品に仕上がっていたと思う。

 

 思えば2019年度劇場観賞した映画のうち、ヒロインの活躍をメインにしたものは『キャプテン・マーベル』『ターミネーター・ニューフェイド』『スターウォーズ・スカイウォーカーの夜明け』『チャーリーズ・エンジェル』、そして本作の5作品だが、正統派ヒロイン(その究極が『キャプテン・マーベル』!)の過去4作品と比較しても、アンチヒロインものの本作も遜色のない楽しさだった。本当に続編が期待したくなったよ(;^_^A

 

 ちなみに劇中、クロスボウを駆使するショートヘアーの暗殺者・ヘレナを演じていたのが、メアリー・エリザベス・ウィンステッドであることを、後で拝見したパンフで知ったのは衝撃的だった。彼女はかのタランティーノ監督の“グラインドハウス”こと『デスプルーフ』の後半に、監督の好み(おそらく間違いない(;^_^A)で『悪魔のチアリーダー』のチアコスチュームに身を包んだ初心な女優・リー役で登場し、しかもクライマックスの彼女の親友3人による変態スタントマン・マイクカート・ラッセル)の公開リンチには参加していない。そんな“虫も殺さなそうな”彼女がシュートヘアーにどぎつい黒メイクを施し、要はリー役とは似ても似つかない容姿でアクションヒロインを演じていたのは、かの『スケバン刑事』の斉藤由貴南野陽子を彷彿させて、後になってとっても嬉しい気分に浸らせてくれた(;^_^A

 

 

 

 早くDVDで再見したいなぁ(^^)