神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『スーパーGUNレディ ワニ分署』

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 前日に引き続いての“過激なヒロインアクション”シリーズ(?)第2弾は、これも激しくて痛快な「スーパーGUNレディ ワニ分署」を紹介したい。


 冒頭の“日活マーク”が消えると、どこにでもある民家の団欒のシーン。そこへいきなり車が飛び込んでいくという衝撃的なワンカット(主人公が悪徳警官を追跡中だったというオチ)から始まるこの作品、曽根中生監督の『スーパーGUNレディワニ分署』は、原作者が同じからだろうが、先日日記に書いた「0課」と同じように通称「ワニ分署」の女刑事が活躍する作品である。

 ストーリーは、主人公の女刑事・火野三夏(横山エミー)が元SPの相棒・加倉リン(ジャンボかおる)と組んで、航空機汚職(当時のロッキード疑獄がモデルであるのは言うまでもない!)に端を発した殺人事件に絡んでいくというもので、権力の暴力が根底にあるヘビーな内容ではあるが、その中にも、どぎつく・エゲツないシーンがたくさん登場する。

 まず、主人公役のカバーガール・横山エミーからして、当時近鉄・ヤクルトで活躍したプロ野球投手・井本とのスキャンダルが巷を賑わしていて、そのことを考えるだけでもかなりいかがわしい。その横山エミーこと火野三夏(読みだけは、かの「氷雨」をヒットさせた女性演歌歌手と同じ)が、敵に拉致され、シャブ漬けにされる場面では、敵側の“足りない”男(安岡力也)がベッドに縛られた三夏の姿に興奮し、あろうことか彼女の体に小便を引っかけて、仲間から部屋の外に蹴り出されるところや、シャブに十分肉体を蝕まれた三夏が、ブタのように丸裸で「ねェ、薬頂戴よォ~」と哀れに懇願する姿は、実にエゲツなくそれでいて妙に艶めかしい(この後彼女はリンによって救出され、決死の努力でシャブ中毒を克服する)。

 また、実際にはキックボクサーで、文字通り体を張ったアクションを披露するジャンボかおるの勇姿(時には容疑者の口に手を突っ込んで顎を外す荒技も披露!)には、表現は失礼ながら全く女を感じさせない、すさまじいパワーを感じさせている。

 その他のキャスティングに関しても、彼女らの上司に“和製ドラキュラ”こと岸田森、先輩刑事に若松孝二作品の常連俳優の山谷初男、そして、敵側が女刑事らの捜査を攪乱するために起こした銀行強盗の犯人役には、古尾谷雅人内田裕也が登場するという、これだけでもとんでもなく濃くてどぎついキャラクターが名を連ねている、もの凄い作品だといえる。

 最後は、三夏とリンが、敵の黒幕を粋な殺し方(ジョギング姿で近づいて、ポンとトラックの走る路上に押し出す等)で抹殺して幕を閉じるわけだが、激しさという点では『0課の女~』に及ばないまでも(日活と東映の違いとも云えるが……)、当時のB級テイストを味わう上では、十分堪能出来る作品だ。