神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

陰陽少女の末期

  先日官能小説界の大御所、団鬼六氏逝去の報を目にした。あいにく私は氏の代表作である『花と蛇』でさえ、正式に読んだことがない身だが、かつて隆盛を誇った“にっかつロマンポルノ”の扇情的なタイトルの中に、しばしば“団鬼六の”云々といった文字を何度も目にしたことがある。いずれにしても、また一つ大きな時代が終わったような気がする。
 
 さて、件の“ロマンポルノ”の世界においては、氏の名を冠したタイトル作で大活躍した“谷ナオミ”“麻吹淳子”“真崎乱”といった女優達の姿が思い浮かぶが、今回は、氏のおそらく遺作であろう『花と蛇3』で主演を務めた“小向美奈子”のことを書いてみたい。一応“ヒロインアクション”のカテゴリーということなんで……(笑)
 
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  彼女が“ヒロインアクション”の世界に足を踏み入れたのは、何といっても『陰陽少女』だった。とはいうものの、私はあまりこのドラマをきちんと観てはいなかった。元々は関東ローカル局の制作・放映で、後にCSでようやく観る機会に恵まれた作品だったからだ。
 
 本作は、アイドルを主人公に配した“陽性のヒロインアクション”(例えば『ケータイ刑事』シリーズ)とは一線を画した、80年代系東映ヒロインアクションものとも異なる、実に暗く、重く、陰惨な雰囲気に包まれた作品だったように記憶している。主人公の小向嬢もいつもムスッとした隠微な表情ばかりで、映像の薄暗いトーンもあり、あまりカタルシスのないドラマだったようなきがする。しっかり観てなくてこんなコメントを書くのも申し訳ないのだけれど……。
 
 ただ、そんな表情の小向嬢が制服姿で剣を振り回す姿は、『ラストブラッド』のチョンジヒョンを彷彿させるほどカッコよかった。新たな“アクションヒロイン”の誕生を思わせるドラマだった。
 
 それだけに、何ともいびつな形で芸能界のみならず一般社会からドロップアウトしてしまったことは何とも残念だ。いずれ自らの罪を償った暁には、再び“ヒロインアクション”の世界に戻ってきてほしい。きっと“箔”がついて、ドスの利いたヒロインになっていることだろうから。