麗しの“泉先生”
まだ小学生だった74年、毎週日曜日の7時半は“悩みの時間帯”だった。なぜなら、同時間帯に『宇宙戦艦ヤマト』と『猿の軍団』が同時放映されていたからだ(当時は地元にフジ系の局がなかった関係で、『アルプスの少女ハイジ』はバッティングしていなかった)。
クラス内では“ヤマト派”と“軍団派”に分かれて、どちらを観るか大論争。そんな中で、今までアニメ(当時はテレビ漫画)よりも特撮を愛していた私は、迷うことなく“円谷ドラマ”である『猿の軍団』を観る道を選んだのだったが………意外にまったりとした展開の『猿の軍団』には正直辟易し、そんな時、試しに『ヤマト』を観たら予想以上に面白く、そこから急に“ヤマト派”に鞍替えし、そのまますっと『ヤマト』の方を見続け、同じ日・同じ時間帯に迎えた両番組の最終回は、チャンネルを切り替え(勿論ダイヤル式ですよ 笑)しながら、ほぼ『ヤマト』7:『猿の軍団』3ぐらいの割合で双方を強引に観賞した。

その後、思いがけず頻繁に再放送されることになった人気番組『宇宙戦艦ヤマト』に対し、『猿の軍団』の方は一度も再放送されることなく、この度のCS「チャンネルNECO」による再放映によって、ようやくこの番組を再見する機会に恵まれたわけだ。これで後半の不明な部分や、観たつもりでその実殆ど覚えていない最終回の結末を確認したいと思っている。
さて、殆どがメイクアップされた「猿人間」(むしろ人間の方が“裸の猿”か……)で構成されている本作の中で、人間女性の出演者は僅か2名。“ユリカ”こと斉藤浩子と“泉和子先生”こと徳永れい子の“紅二点”に過ぎない。

以前、同世代で特撮好きの職場の同僚が、「泉先生に子供心ながら憧れた」という話を聞いていたのだが、このたび、改めてその泉先生を観て、その同僚の言葉には偽りなかった、と思ったね(笑)
実に清楚で慈愛に満ちた知的な美人。私の趣味にジャストミートなキャラクターだ。ネットで検索したら、スペクトルマンこと故成川哲夫氏と同期の東宝ニュータレント8期生だそうで、『猿の軍団』出演時は御年23歳。現在おそらく還暦間近の年齢らしい。勿論実年齢は私よりうんと上だ。

しかしながら、私の脳裏に今もある(そして今回の再放映で再確認した)徳永れい子嬢は、紛れもなく二十代前半の初々しい“泉先生”な訳で、その思いは終生変わらないだろう。
“麗しの泉先生”……そんな感じだ。