峰不二子的藤原紀香
正直、ストーリーは殆ど覚えていない。兎に角、藤原紀香の魅力を全面に押し出した、“藤原紀香の藤原紀香による藤原紀香の映画”だったと記憶している。本作で彼女は、峰不二子を彷彿させる謎の女を熱演し、かなりあぶないアクション、かなりきわどい色気の演技に、果敢に挑んでいた。
彼女は常々“峰不二子”に憧れていると公言しているようなので、まさ本懐を遂げたいってもいいキャラクターを演じたと言ってもよい。台本もろくに渡されず、場当たり的な香港映画の現場には戸惑っていたみたいだが。
藤原紀香が“アクション”映画に出続けるには、あまりにも彼女がメジャーになりすぎた。またイメージが重要視されるボランティア関係に活動がシフトしたのも、“ヒロインアクション”的見地からはマイナスだった。
既に不惑の年齢を迎えようとしている彼女のことを思うにつけ、失われたこの10年を悔やむのみだ。